第10話
フェリチタから婚約が決まったと聞いて私の頭は真っ白になった
「そ、そっか…おめでとう」
私は感情を顔に出さないように必死に我慢する
「お、お相手は?」
私はそう恐る恐る聞いた
「はい…45歳の子爵家の次男です…」
私はそれを聞いて驚きはしなかった
政略結婚に年の差なんての自由は無い
「なのでロヴィーナ様…今日をもちましてメイドを…辞めさせていただきます…」
フェリチタは暗く、そして泣きそうな顔でそう言った
「ロヴィーナ様…最後になるので誕生日プレゼントを持ってきました…」
結婚すれば二度とロヴィーナには会えない…フェリチタはそう覚悟していた
「これを…受け取ってください…」
そう言ってフェリチタが渡してきたのはヘリアンサスだった
『はい、だからいつか好きな人にはこの花を贈りたいなって』
ロヴィーナはあの日、ずっと続いて欲しいと思ったあの日のことを思い出す
「ロヴィーナ様…私は…ロヴィーナ様を…愛してます…」
そうフェリチタは弱々しく、しかししっかりと私に告げた
「最後に言えて良かったです…失礼しました…」
フェリチタは泣くのを必死に我慢し部屋を出ようと歩き始めた
(本当に…このままでいいの?)
私はそう自分に問いかける
(私は…本当にこのままでいいの?)
(フェリチタは本気で私に告白してきた…なのに私は軽くうけていいの?)
(私の気持ち…私のフェリチタに対する気持ち…)
私はそう頭をフル回転させる
(私は…私は!)
私はフェリチタの手を取りそのままだきよせ
キスをした
フェリチタは顔を真っ赤にし焦っていたが気にせず舌を入れる
「ロヴィーナっ…しゃまっ…」
キスしてから10数秒…私たちの唇は離れた
「フェリチタ…私も…貴女を愛してます」
「ロヴィーナ…様…本当…ですか?」
フェリチタはそう泣きながら言った
「うん…もちろん」
「私なんかで…いいんですか…?」
不安そうにそう言ってきた
「フェリチタじゃなきゃ嫌」
「私…私…本気にしちゃいますよ…?」
「本気じゃなきゃ私が困る」
そういうとフェリチタは私に抱きついた
「私!私!嫌でした!本当は婚約なんてしたくなかった!ロヴィーナ様を愛してたから!」
「うん」
私はそうフェリチタの頭を撫でながら聞く
「でも…結ばれないってずっと思ってました…」
「うん」
「それでも…ロヴィーナ様の幸せな様子が見れるのならそれでもいいと思った!
ロヴィーナ様の幸せが!私の幸せだったから!」
「うん」
「でも…婚約が決まって…しかも33も年が離れてて…不安で…不安で…」
不安にならない人なんていない
しかも12歳の少女だ33も年の離れた人と結婚しろなんて誰でも不安になる
「だから最後にこの思いを伝えようって…どう思われてもいいから…最後だから…伝えようって」
「うん」
「そしたら…ロヴィーナ様も私が好きで…本当…夢のようです…」
「私の夢のようだよ、相思相愛でほんと嬉しい」
私はそう優しく告げる
そしてフェリチタが泣き止むまで私はフェリチタの頭を撫で続けた
しばらくしてフェリチタは泣き止んだ
そして今私たち二人はベッドに座って向き合っている
「ロ、ロヴィーナ様…もう一度問います…本当に私でいいのですか?」
「うんうん」
私はそう頭を横に振る
「フェリチタじゃなきゃやだ」
「嬉しいです…本当…まだ信じられないくらい…そ、その…もう1回…いいですか?」
「もちろんいいよ」
私はそういい優しく笑いかけ先程よりももっと深くキスをした
いつもなら私が膝枕をされてるが今日はフェリチタに膝枕をしてる方である
フェリチタはいつもこんな感じだったんだと改めて感じた
「ロヴィーナ様…」
フェリチタは不安そうに私の名前を呼んだ
「なに?フェリチタ?」
私は優しくフェリチタの頭を撫でながらそう言った
「私の婚約者…どうしましょう…」
「ん〜大丈夫〜私が貴族からなんて認知されてるか知ってるでしょ?」
「はい…」
ロヴィーナは兄を殺した
それはあの時教会にいた皆が知ってることであるもちろん貴族も含めて
更にそこからロヴィーナは山賊を殺っていたため貴族はもしもの時ロヴィーナに殺されるのではと思っているためロヴィーナに滅多なことはしない
「だからちょっと頼めば快く取り下げてくれると思うよ」
「そ、そうですか…」
フェリチタはこの時自分の心配よりもロヴィーナがなにかしでかさないか心配になった
「フェリチタ」
「なんですか?ロヴィーナ様?」
「まず「様」を抜こうか」
「さ、さすがにそれは!」
「私たち恋人でしょ?」
「ゔっ…そ、それは」
いつも手玉に取られているロヴィーナだったが今度はロヴィーナがフェリチタを手玉にとっていた
「ダメ?」
「わ、わかりました!少しづつ!少しづつ直していきますから!」
「それでもいっか」
それから私とフェリチタは色々お話をした
お互いの第一印象や好きだと気づいた時とかそんな話を続けた
「それじゃフェリチタそろそろ行こうか♪」
私がそう言うとフェリチタはりかいできなかったのか
「どこにですか?」と問いかけてきた
「もちろん父様と挨拶しに行くんです!結婚の!」
「ええぇぇ!い、今ですか!?し、しかも結婚?!」
フェリチタは驚いたのかすごい勢いで起き上がった
「うん…ダメ…?」
私がそう上目遣いで聞くと満更でもなかったのか「しょ、しょうがないですね…」父様顔を赤くしそう言った
「で、では参りましょうか…」
フェリチタはベッドから降りて私にそう言った
「うん、行こ」
そう言って私もベッドから降りてフェリチタの手を取って無理やり恋人繋ぎにした
「ロ、ロヴィーナ様恥ずかしいです…」
「ダーメ、さぁ行こ」
「は、はい…」
諦めたのかフェリチタと私は恋人繋ぎのまま父様の部屋の前まで来た
私はドアをノックして「どうぞ」と聞くとドアを開けた
部屋に入るとそこには公爵のヴィス・イグノランツァ様と父様がいた
「どうしたんだい?ロヴィーナ?」
「父様…私はフェリチタと結婚します!」
私はそう堂々と言い放った
転生王女の進む道!〜彼女たちに出会って幸せになるまで〜 妃白 @pizyoppu
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