第3話 不快な時間

その後、チャイムが鳴り、HRが始まった。

俺はこれからのことを考えていた。

日南のこと、金平のこと、黒崎さんのこと。

正直、日南とは離れたくなかった。しかし、このまま俺と付き合っていくより、ああいうやつの方が日南を幸せにしてくれるのかもしれないと思ってしまった。


「それじゃあ、今日一日頑張ってくれ。」


そう言ってHRが終わろうとした時、教室の扉が開いた。

美しい黒髪にクールな目つきをしたその女子生徒。


「はぁ……。黒崎絢香、遅刻だ。後で職員室に来いよ。」

「はーい。」


その女子生徒は俺の隣の席に座り、俺に話しかけてきた。


「やぁ、昨日ぶりだね。」

「黒崎さん、高校生だったんだ。」

「あぁ。昨日は依頼があったからね。仕方なく休んだんだよ。」


依頼……黒崎さんが探偵と言うのは本当なのか?

しかしまぁ、もう一度会いたいと思っていたところだったので、俺としてはちょうど良かった。


「どうやら、君も覚悟を決めたらしいね。」

「わかるのか?」

「昨日までとは目が違うからね。」

「そうなのか?」


それから、午前の授業が始まった。

授業中、金平と日南はずっと話していた。

教師は、基本放任主義な人が多く、小声で話しているくらいじゃ注意されない。

放っておくしか無いと思っていたが……


「そこのお二人、少し静かにしてくれますか?」


声を上げたのは、三つ編みおさげのメガネちゃん。

見た目からわかる頭の良さ。

気になるのは、右腕に腕時計をつけていることだが、まぁあまり気にすることは無いだろう。


「あ! すいません! 気をつけます……。」

「……すんません。」


その後二人は顔を見合わせて笑った。

俺は、そんな二人を見て気分が悪くなった。


「気持ちが悪いね。」

「同感だ。」


そんな不快な時間が続き、昼休憩になった。

俺は持ってきた弁当を黒崎さんと食べた。

日南はどうやら女バレで食べる約束をしたようだ。


「そうえば、まだ君の名前を聞いてなかったね。」

「そういえばそうだったな。俺は鈴森涼太だ。」

「涼太だね。さて、早速本題に入るけど、君はどうしたい?」


黒崎さんはお箸を置いて俺の方を向いた。

俺はどうしたいのか……。

俺は考えたが、わからなかった。

しかし、まずすることは、金平宗一の本性を暴くことだ。


「すまない。どうしたいかは俺にもわからない。」

「そうだろうね。仕方ないよ。」


黒崎さんはお箸を持って食べ始めた。


「黒崎さんは、どうしたいんだ?」


黒崎さんは、友達が被害に遭ったのだったか。

俺は気になってしまった。

彼女がどんなやり方で金平宗一を追い詰めるのか。


「……私? ん〜……まだ内緒かな。」

「そうか。なら、もう一つだけ。その被害に遭った友達は、その後どうなったんだ?」

「……多分今は、部屋にいるんじゃないかな。」


俺は、そこまで馬鹿じゃない。

それがどう言う意味を示しているかくらいわかる。

早くしないと、日南が危ない。


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次回は少し長めの話を投稿する予定です!

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