サムとシヴァ

中筒ユリナ

第1話 自分を受けれるとは。

僕はサム。


只今人に転生中のチコの守護神をしている。今生のチコはかなり厳しい道のりを歩かされている。それを「歩かされて」と僕はずっとそう考えてきた。


僕のグループのボスであり、親でもあるヴィシュヌ様は尊敬する神であり、僕の目指すところだ。


物腰柔らかく、しかし、ご自分の覚悟たる信念をお持ちになり、グループのメンバーを引っ張りこれまでやってきた。


今生のチコに対する「歩かせる」も親心からだと。。しかし、厳しい。。。


チコが大変な思いをしながら、日々生活する中、ゼウス様グループの応援を借りて僕らはチコを守護していた。


そんな時、ゼウス様が一人の男性を連れて来る。彼は別のグループに所属する、かの有名なシヴァ神。


僕らのヴィシュヌ様とはヒンズーの神として君臨されている。なぜ、ゼウス様と知りあいなのだろうか。関係性もわからないまま、チコを取り巻く、悪い輩を何とかすべく、シヴァ神の力を借りると言うものだった。


シヴァ「俺が勝手に応援には来れないから、俺のボスに話す。それからだ。」


彼のボスは日本の中筒男命だった。正直僕は日本の神を知らない。ゼウスも詳しくはないようだった。


グループで協力する事がきまり、

3つのグループで、助け合うことに。


シヴァが来るのかと思いきや未来から来たと言うシヴァが専属で僕と一緒にチコの守護してくれる事に。


サム「シヴァが二人?、、、?」


シヴァ「俺は、未来から来たんだ。シヴァだと、ややこしいから、愛称がシーだ。シーと呼んでくれ。」


彼はシヴァとそっくりだが、姿、体格が違った。かなり細い。だが、筋肉質だ。


ゼウスと親しげに話すのを見て、何故なのか?不思議だった。普通はヴィシュヌ様と親しいのでは?同じヒンズーなのに。。。


ゼウス「細かい事を気にするな。」

サム「はい。。。?」

なんだが、疑問に感じながらも一緒にチコ達家族を守護する事に。


本格的にチコの周りにいた怨み抱く者達を跳ね除けていく。


シー、彼の身のこなしは凄いものだった。ただ・・・。


シー「ゼウス、こいつら、バッサリやってもいいか?」

何の情もなく、温情すら見せることも無くバッサリとやっつけてしまう彼にに僕はあ然とした。


神なのに。。あんなに淡々と、冷やかな。まるで、感情すら持たない。。


そんな姿が僕からは、感じられ、ある意味、どちらが、怨み抱く者なのかと。。


ただ、ある程度やっつけた後、僕らと一緒の時には、まるで違う表情にかわる。


僕は、次第にシーと共に行動するようになっていった。


サム「シーは、何故そんなに潔く叩きのめすのですか?」


シー「ん?、、何が言いたいんだ?」


サム「ですから、普通は相手に情をかけ、天に返すべきかと。」


シー「あのな、サム。それができるなら、やってる。実際、救けられそうな者達は仏様方々に連れて行ってもらってるしな。


だが、そうじゃない奴らは、ぶっ叩いて、潰さねぇと、チコちゃんをかえって危険な目に合わせる事になる。」


サム「それは、わかりますけど。。あまりに、いともあっさりなものですから。」


シーの表情が曇る。


シー「要らない感情、情を持つと、大切な者を失いかねないからな。」


僕はシーの心には何かあるのかと感じる。

一方、シヴァはまるで違い、人間にも、怨み抱く者達にも、温情かけている。


ただ、やたらと彼らは強い。。。


ゼウスも相当強いが、シーも相当だった。また、スマートに身をこなし、次々に技を使う。


きっと女性が見たら、黄色い声援が飛びそうだ。


シー「言っておくが、俺は女性に恐れられた事はあっても、モテた事などないぞ。」


シーはそうは言うけれど、うちの女神達から見たらかなりの男前に見えるそうだ。中には彼に近づきたいと想いをよせる女神もいるようなのだ。


ある日シーにいきなり僕は言われた。


「サムはなんで、自分を隠してんだ?理由でもあんのか?」


僕は誰かに気づかれた事がなく、シーからの言葉に戸惑う。


サム「なぜ、それを?」

シー「なんだ?、、気が付かないとでも思ったか?」


サム「はい。。今まで誰にも言われた事ないですから。知ってるのはヴィシュヌ様と調理場のレオンだけです。。」


シー「皆、知ってて言わないだけじゃないのか?俺からは丸わかりだがな。」


僕の隠し事を暴かれそうで、内心ヒヤヒヤだ。


シー「まぁ、言いたくないなら、聞かねぇけどな。


誰にでも、表に出せない事もあるよな。


だがな、俺が言うのもなんだが、


開放してやった方がいいと思うぞ」


シーに言われるも、自分の本性を明かす事は、僕にとってはかなりの勇気がいる事だった。。。


それから、幾人かの人にシーと同じ事を言われ、中でも僕の胸をうったのが、アメ様の一言だった。


アメ「サム、貴方本性、素の自分を隠してるわよね。それも、自分の為でなく、大切な者の為なのでは?」


サム「はい。確かにそうです。


チコに知られたくないんです。知れば、今までの僕とは違い、恐いと、、きっと感じるから。。」


アメ「あら、チコちゃんは今まで知るサムを知らないわよ。だって、記憶ないわよ。だったら、今までを知らないんだから、チコちゃんにとっては、今のサムがサムでしょ。」


ハッとさせられ、自分でも「確かに。。。」と胸の中でザワザワとする。


シー「お前さ、ほんとはかなりの男だろ。

そう、表向きは穏やかで、優しいようだが、内はかなりの気性を持つ。」


彼に言われ僕は懇願した。彼女に言わないでほしいと。


シー「なぜだ?」


サム「なぜって、、、本性を知れば彼女は僕を恐がり、嫌われます。いや、避けられ、離れていくかもしれない。。。」


シーは、黙って聞いていた。


そして、口を開いた。


シー「激しい気性か。。。確かにチコちゃんは、穏やかな相手の方が好むのかもしれない。だがな、サム。


その隠し事を永遠に隠し続けれるのか?


いつかは気が付く時が来るか、または、最悪は、何かあった時に自分の感情を抑えられず晒すことなんじゃないのか?」


シーは、尚も話を続ける


シー「チコちゃんだってな、成長し、大人の女性に、女神になっていくんだろ。次第にサムの内側にも自ずと気がついていくだろう。


いつまでも、彼女は、子供のままじゃないんだ。自分の愛するサムがひた隠しにするものを受け入れていくよ。


何を、お前は恐れてるんだ?」


そう、シーの言う通りだった。僕は恐い。本性を知ればチコは勿論まわりの女神達にも嫌な思いをさせるかもしれない。


シーの言わんとする事も理解はできるが。。。



それから、相変わらずの状態が続いていた。怨みはらそうとするもの。救けてほしい者選別しながら、容赦なくバッサリとやっているシーを見ていると、彼の内側が妙に気になる。


シーがなぜあのような潔さが出来上がったかをシヴァが話てくれた。心に傷を負い悲しみとこれからの不安を抱えていると。


大切なものを守れなかった自分の無力さを知り、大切な者が我が手に戻っても尚、不安を抱える彼の姿をみているうちに、自分が隠す事がちっぽけな事に感じられた。


シー「どうしたんだ?」


サム「聞いて下さいますか?僕の本性を。」


僕はシーに自分の事を話した。


本当の僕は


独占欲、嫉妬心、気性が荒く怒りも湧く。負の感情が渦を巻く


そんな男だった。


それをひた隠し、自分をよく見せようと必死に取り繕いコントロールしてきた。


シー「だからさ、それを隠すんじゃなくて、自分でまずは、認め表に出した状態でコントロールできれば、問題ないだろ。それは、サムはすでに獲得出来ているだろ。だから、大丈夫だ。」


「え?」僕が獲得できている?


シー「サムは、自分の内面をすでにコントロールしてるじゃねぇか。


ただ、自分を受け入れていないだけだ。


それも自分だと理解し、受け入れる事ができれば、今以上に内側は広がりを見せ、それは、視野も広げ自分以外の者を見る目も変わるんじゃないか。」


そんな事考えた事もない。


自分を受け入れる。。。


シーはどんな自分も受け入れ、自分を愛してやれと僕に話す。


シー「自分を大事にすれば、自ずと相手を大事にできる。


うちのグループの指導者の教えだ。」



シーからの影響を受け、僕は今やっと冷静に自分を観察し、解放させている。


嫉妬する自分。今の自分には一番多く顔を出す感情だ。


そんな僕を皆は暖かく迎えてくれている。


シーも今では削り落とした感情を元に戻した。


彼は僕に話す

「守るべき、愛する者の本当の気持ちを知る事が出来た。


彼女にこんなにも愛されていた事を知り、元の自分に戻る決心がついた。


これからは、自分が削り落とした

「神としての温情」を相手を見ながら、コントロールするのが、課題だ。」


僕も彼に負けてはいられない!


愛する彼女を守り、導ける指導者になるべく、中筒様グループで学んでいく。。。

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