第4話

 既読はなかなかつかなかった。今度は画面を眺めることもなく、すぐにスマホを閉じる。私はベッドにもぐりこむと、顔まですべて布団で覆って、ふう、と息を吐いた。

 今日はなんだか疲れたな。気疲れかな。役に立てますように。

 まだお風呂に入っていないのに、私は気付いたら眠っていた。


 小鳥のさえずりが聞こえる。朝になっている。

 すぐにスマホを開くとメッセージが大量に来ていた。やばい、発言を求められていたらどうしよう。あっ、でも、既読つけるの早すぎたかな。

 えいっと私は脚本班のトークルームを開いた。ざっと全部見てみると、発言を求められている様子はなさそうだ。昨日私が寝ちゃう前には私と相河くんと持田さんしか意見を言っていなかったが、眠った後で山村くんと中田くんが意見を述べたようだ。二人とも、オマージュすることに賛成。多数決で、脚本づくりはカイジ、コンフィデンスマンJP、の二択でいくことに決まっていた。相河くんのまとめ方がとっても上手で、思ったよりあっさりと決まったようだった。

 私が出した案がみんなに検討されていると思うと、心臓がドクっと動いた感触がした。


 朝九時からグループ通話をして、直接みんなの声を聴きながら話し合いをするらしい。相河くんがそう発言していた。部活で忙しい人もいるから、一応自由参加ということらしい。日曜日の朝から学校のことをやるなんて、すごく熱心なんだな。感心する。


 九時を回って二分ほど経って、私は通話ボタンをタップする。まだ喋っているのは相河くんだけのようだった。あ、相河くんが一人で喋ってるっていうことじゃなくって、通話のホストが彼で、まだ誰も参加者がいないということね。

「もしもし」

「あ、柚原さん! ありがとう、参加してくれて。」

 こちらこそ、ありがとう。

「まだ私だけみたいね。他の子はどうしたの?」

「中田は部活で、持田さんは家の都合。山村くんは分からない。まだ既読ついてないんだよね。」

「えっ! じゃあうちと相河くんだけってこと?」

「まあ、そう。」

 緊張する! 男子と2人きりなんて!

 そう思っていることが相河くんにバレてしまったのかどうかはわからないけど、彼は一人で勢いよくしゃべりだした。

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