3#みんな・・・どうしたの?

 更に月日が流れた。


 アナグマのボルは、土に埋めたずっと風船が運んだ花の種に執着しすぎて、すっかり痩せ細っていた。


 「腹減ったな・・・でも、獲物がすっかり居なくなったな。この森は。」


 この山からアナグマのボルが狩る獲物の姿が次々と消えていった事を、知らなかった。


 「本当に、みんな何処へ行っちゃつたんだろうな?

 でも、僕にはこの花の種がある。

 早く咲かないかなあ?

 咲いたら、皆に見せたいなあ・・・あの時の風船が運んできた花の種だしな。 

 でも・・・その皆が何処に行っちゃったんだ・・・?!」 


 アナグマのボルは何時かはるか前に、森の動物達と空から森に降りてきた風船で大騒動になったひと時を思い出していた。


 しかし、ここにあの時の仲間達の気配は全く無かった。


 ただ、アナグマのボルただ独りぼっち。

 じっと花の種に芽が出るのを、じっと待ち続けるアナグマのボルただひとりぼっち・・・


 そして、夜がきて、


 朝が来て、


 そして、夜が来て、


 また朝が来て、


 幾日経っても、アナグマのボルの仲間達の姿は一向に見当たらなかった。 


 「本当にどうしたんだよ?!皆!!」


 段々とアナグマのボルは、余りの寂しさに半ベソをかいた。


 「何で・・・僕だけを置いて・・・皆に、この今に咲く花を一緒に見たかっただけなのに・・・」

 


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!



 突然の大地を揺るがす轟音に、はっ!とアナグマのボルは我に返った。

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