第6話

高校生初日の前日の晩の11:11ちょうどに、

「明日から高校生ですねっ!おめでとう!」

って女の子の声、聞こえてきた。

「あっ、香絵ちゃん、ありがとうーっ」

「今日で、この部屋で会うのも、最後になります。でも、明日から、高校で2人は会うことになっています」

「やったあああ!香絵ちゃんと会えるーっ」

「でも、高校で会っても、2人とも、相手のことは、何も知らない状態なのっ!わたしにも、わからないのよ!」

「香絵ちゃんだってこと、わからないの?」「そうなの...でも、この部屋で会えて、よかったわ。平安時代から、ここは、わたしの部屋だったから」

「香絵ちゃんの部屋だったんですね!平安時代から...」

「そうなのよ。でも、明日からは、わたしも、また別の人として生きていくの。じゃあ、またね。ありがとうね」

「ボクのほうこそ、めっちゃありがとうーっ」


香絵ちゃんは、部屋から去っていったのか、静かになって、存在を感じなくなってしまった。

ボクは、ふとんをかぶって、そのまま眠りについてしまった。明日、また会えるのかなあ~って思いながら。


高校の入学式に出て、自分のクラスの席に座ってたら、教室のうしろのほうで、

「かえーっ!」

って叫んでる女子の声、聞こえてきた。

「かえーっ」っていう、たぶん名前だと思うんだけど、その「かえ」っていう名前の響きに、なぜだか、めっちゃ懐かしい感じした。

「かえーっ」て呼ばれてた女子は、ボクの横の席に座って、ボクに向かって、

「かえです。香る絵と書いて香絵っていいます。今日から、よろしくねっ。あっ、ちなみに誕生日は11月11日です」

「香絵ちゃん。はじめまして、よろしくっ!はじめてじゃないみたいなんだけど...」

「わたしも~」

って言って、香絵ちゃんは、めっちゃ笑ってた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

女子のからだのボク ヤッキムン @yakkimn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ