第5話

修学旅行中に、女子の友達とめっちゃ仲良くなれたから、霊の女の子は側にいなくても、帰りのバスや電車の中では、女子の友達といっしょにしゃべりながら、大阪の中学に戻った。


修学旅行から帰ってきて以来、部屋で寝ていて、ちょうど11:11になったら、霊の女の子はあらわれるけど、前みたいに、ボクの体を愛撫して、顔にキスしてるのを感じはするけど、しゃべったりすることはなくなった。


ある晩、11:11になって、霊の女の子はあらわれたから、ボクは修学旅行で買ってきていた、長野の善光寺のおまんじゅうの箱を開けてみた。ボクは、そのうちの1つを食べた。

「うんっ!美味しいっ!食べていいよっ!」って霊の女の子に言ってみた。

しばらくして、箱の中をふと見てみたら、1つだけ、包み紙だけになってて、中身なくなってたから、

「ああ、食べてくれたんだなあ~」

って思った。


ボクは高校は女子高に行きたかった。女子といっしょにいるほうが良いから。

でも、さすがに、そういうわけにもいかなくて、府立高校に進学することになった。


中学の卒業文集に、ボクは、霊の女の子のことを書いた。でも、中学でも、霊の女の子のことは誰にも話していなかったから、自分では霊の子のことを書いていたけど、それを読んだ学校の友達は、よくわからないように、わざと、あいまいに書いておいた。


中学の卒業式の前日の夜、11:11ちょうどに、

「明日で中学も卒業だね~。おめでとう」

って女の子の声、聞こえてきた。

嬉しくて、

「うわっ、ありがとうーっ」

って大声を出してしまった。

「中学卒業記念に、3つだけ質問に答えるわよ」

って言われたから、

「何で、いつも11:11に、あらわれるの?」

「わたしの誕生日だから」

「11月11日なのか~」

「1111年よっ!」

「え~、1111年~?」

「なんか、あかんの?1111年やったら」

「いや、ぜんぜん、いいっ!平安時代なんですねっ!」

「そうよっ!あと2つ」

「名前は何ですか?」

「香る絵と書いて、香絵よ」

「香絵ちゃんなんですねっ!」

「そうよっ!あと1つ」

「え~と、なんで、昼の11:11じゃなくて夜の11:11にあらわれるの?っていうのじゃなくて~、なんで、ボクの体をいつも優しく抱いて愛撫してくれて、顔にもキスしてくれてるんですか?っていうのじゃなくて~、え~と、あっ、そうだ!香絵ちゃんと実際に会えますか?」

「高校生になったら会うことになっています!じゃあ、その時またね」

って言って香絵ちゃんは静かになってしまった。


今まで、描きためておいた、香絵ちゃんとボクとの、えっちな絵を見せても、何も起こらなかった。

服を脱いで、裸になって、えっちな格好をしてみても、何も変わらなかった。


ボクは、そのまま、ふとんにもぐりこんで、明日の中学の卒業式のために、もう寝ることにした。

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