第4話
中3の修学旅行は岐阜・長野方面だった。
電車に乗って岐阜まで行き、それからバスに乗って、山々の雄大な景色の中を進んで行った。
「うわ~、きれいな山々の景色やね~」
って、耳元で女の子の声、してきたから、びっくりした。
「うわっ、やっぱり、ついて来てたんかいっ!」
って思わず声をあげてしまった。
でも、女の子の声は、他の友達とかには、聞こえてないみたいだった。
「当たり前でしょ。他の子には聞こえないわよっ!」
「でも、なかなか、こんなきれいな山の景色、見れないよね~」
って霊の女の子に言ったつもりだったのに、
「ほんまやなあ~、すごいね~」
って、横の席に座ってる子も、自分に言ったもんだと思って答えてくれた。
長野の善光寺にバスは到着して、そこで休憩になったんだけど、ボクは、まだ、そんなに学校でも仲良しの友達いなかったから、1人で、ブラブラと善光寺を歩いていた。
「こんなことだろうと思って、ついて来て良かったわ」
って霊の女の子の声、またしてきた。
「いっしょに善光寺、歩いてあげるから」
って言ってくれたから、その女の子と2人でいっしょに歩いてるような気分で善光寺の緑の木々の道をまわっていった。
そのあと、鬼押出し園に行った。
きれいな色の湖みたいな地形に、
「うわ~、きれいな珍しい地形やなあ~」
って女の子も感動していた。
そして、宿泊先に着いた。
担任の先生から
「どっちの部屋で寝る?」
って言われたから、
「女子のほうで」
って答えたら
「じゃあ、女子の部屋で寝なさいねっ!」
って言ってくれた。
夕食をみんなで食べてたら、
「美味しそう~」
って女の子の声してきて、
ボクの目の前にあった、玉子焼き1つ、急にフッと消えたから、
「あ~、食べたなあ~」
って声を出してしまった。
「ごちそうさま~」
って言ってた。
お風呂も女子のほうに入った。先生方も、まわりのみんなも、ボクは、それで良いって思ってくれてたから良かった。
お風呂にも、女子といっしょに、普通に入浴したけど、服を脱いでも、裸になっても、お風呂場に入っても、女子みんな、何も気にせず、自然なことのようにしてくれてたから嬉しかった。大阪女子も、ほんまに、みんな優しい。
お風呂入ってたら
「うちも入ってるよ~、ああ、気持ちい~」
って声してきたから、きっと横にいるんだろうなあ~って思った。ボクの横のお湯が、ちゃぷちゃぷ音をたてていた。
「いいお湯だあ~」
って言ってた。
体を洗ってたら、
「背中、洗ってあげる」
って言ってくれて、ごしごし、背中をせっけんをつけて洗ってくれてる感じした。勝手にせっけんで泡立っていた。
「うわ~、そんな、ありがとう~」
ってお礼を言っといた。
「いいわよ~、好きだから...」
って言ってた。
体を洗うのが好きなのか、ボクのこと好きなのかは、わからなかったけど。
その日の晩、女子の部屋で11時に消灯になって、ふとんで寝ていたら、11:11ちょうどに、
「うちは、これで、先に大阪の部屋に帰ってるわね~」
って耳元で、ささやく声してきて、
「ばいば~い」
って言うと、ボクのそばから離れていく感じして、それから先は、霊の女の子の存在は、修学旅行の間は感じなくなった。
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