第237話 針仕事

嫁に行くのは難しかろう、と、母に仕込まれた針仕事。

一体これまで、幾つの玉結びをこさえただろう。


千、二千…いいえ、そんな、もんじゃない。


五黄の寅生まれの私の手に託されたのは、武運長久のみならず。

赤い糸縫い祈るのは、千里を帰る年の数の玉結び。


虚しく燃えた千人針。


嫁ぐ先などあるものか。




★☆★


〖針仕事〗で、最初に“千人針”が浮かぶ私もどーかと思うけど。


"五黄の寅生まれの女"っちゅーのも、「気が強い」って事で、“丙午”と同様だったみたいですな。


そして、寅年生まれの女性だけは特例で、年の数だけ玉結びを作ってたようです。


時代とはいえ、男達を戦地に送る後押しを頼まれ、英霊の中には、もしかしたら、彼女の夫になったかもしれない人が。


五黄の寅=1914年(1)

パールハーバー=1941年(28)

終戦=1945年(32)


戦前の適齢期を考えれば、年を食いすぎてる気はするが…。

年齢の数え方…この頃って、もう満年齢だったっけか?



☆★☆


次のお題は〖製鉄所〗


・・・・・・・・・はぁ?

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