第081話 ペーパーナイフ

一輪の赤い薔薇を受け取って、

プロポーズに応じてくれたじゃないか。


なのに何故?


白いドレスの貴女が腰かけたペーパームーン。

並んで座って接吻してる、

この男は誰?


この裏切り、この仕打ち。

今すぐ殺しに行きたいけれど、

僕の手が握るのはペーパーナイフ。


(どうして後十年、待ってくれなかったの?)




★☆★


時代:20世紀初頭のアメリカ。

主人公:10歳未満の少年。(法律で結婚できる年齢-10歳)

貴女:適齢の主人公の近親者。(結婚可の親等or姻族)



この時代は、個人でカメラを持つのが一般的でなく、記念写真の背景にペーパームーンの紙(紙というより板との事)を使うのが流行していたそうです。


主人公は、真剣にプロポーズしてOKを貰ったと思ってたけど、"貴女"からすれば、ちっちゃな子から懐かれたって感じで、本気に受け取るわけないよね。



最初から、ペーパームーンを使いたくってね。

最初は、ペーパーナイフを紙のナイフにしようと思いました。

↑では、そこをボカしたんですが(裏設定で、父親の書斎から拝借した)、

明確に紙のナイフにしているバージョンが↓


★☆★


『僕と結婚して下さい』

『有難う。嬉しいわ』


今すぐあいつを殺したいけど…


僕が座る筈だったペーパームーンの貴女の隣には、

僕の知らない男が、並んで腰かけて、

彼と接吻する貴女の、なんと幸せそうなこと。


画用紙製のペーパーナイフを握りしめ、

(どうして、後10年、待ってくれなかったの?)




☆★☆


次のお題は〖誤字〗

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