第029話 影法師 ②
手燭を持った妻は、後ろを気にしつつも、縁側を小走りで急ぎ、中庭を挟んで向かい側の、煙管を嗜む兄の部屋の障子戸を開けて入る。
(やっぱり…か)
肘枕で寝そべっている私が、真っ暗な部屋の戸を透かし、ここから視ているとは思ってもいない。
二人の影法師は、一つになって、ゆっくりと沈んでいった。
★☆★
障子戸の種類は、腰付障子ってやつ。
★
台風で、時間ができたので作ってみた。
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