第030話 影法師 ③

「お帰りなさいませ」


本宅から戻った私を玄関まで向かえに来た妾は、

死んだ男の妻だった。


私によがる肉体を恥じて目を瞑る。


つまらなかったんだろ?

だから一緒に、あいつを虚仮にしたんじゃないか。



小さくなったお前の背中を染めるのは、私の影法師で、

抱擁を目論む、夕焼けたあいつの心を遮っている。




★☆★


W不倫の成れの果て。


主人公は、お金持ちで、シュッとしてて、テクニシャンと、三拍子揃った、現在四十代半ばぐらい。

妾は、一般人と結婚してた三十代後半。

ってところでしょうか。


W不倫してたのは、10年前ぐらいですかね。


お互いに、既婚者である事を知った上で関係を持ち、元夫と比較して、妾の方が骨抜きになる。

離婚する気満々だったので、関係を隠す気がなかった事もあり、自宅で主人公としてる所を、元夫に目撃される。

それでも、再構築を望む夫に暴言を吐き、主人公からお金を借り、慰謝料を払って、離婚。


しかし、主人公の方は、浮気OKの妻と別れる意志は無く、それでもいいと思って愛人になる。

そうして日々を過ごすうち、主人公とは体だけの関係で、愛が無い事に気づき、やっぱり、自分だけを愛してくれた元夫の元へ帰ろうとするも、元夫は自殺していた。


主人公と別れようと思うも、実家からは縁切りされてるし、彼が立て替えた慰謝料分の借金が丸々残ってるし、今更、働ける場所もなく、妾を続けるしかなかった。

ってっところでしょうか。


主人公と元夫。

主人公が「あいつ」と呼んでいる事から、何か関係があったのかも。




発想元は、


〖影法師〗/

歌:堀内孝雄/作詞:荒木とよひさ


だったりする。

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