第025話 影法師 ①

六歳で入山した僕は、とんとん拍子で、御簾内に籠る法師の朗詠を、兄弟子達と共に聴かせてもらえる迄になった。


今、僕には一つの試練が課されている。


法師から、直接御指導を賜るには、

拝顔してお頼みしなければならないのだ。


小耳に挟んだ所在に向かっても時遅く、

庭園に法師の影法師が伸びるばかり。




★☆★


入山後は、兄弟子から基礎を学び、

午前中に法師の朗詠を聴き、午後からそれについて深く考え、兄弟子に教わったり、討論するのが初級。

そして、法師の話をマンツーマンで聴ける中級に上がる為の、初級の卒業試験が、『法師の顔を拝む』なのだ。

そして、上級の者は、基礎や初級の新参の弟子に、法師に代わって教える。

って、感じ。


どういう法を教えてるのかは…知らん。


ただ、「主人公が、『影みたいな法師』の影法師を見た話」にしたかっただけだ。



兄弟子の誰かと誰かの会話で

「法師は庭にいる」

とかいうのが聞こえたんだろうね。


急いで行ってみると、法師はもう庭にはおらず、渡り廊下とか、外出する駕籠に乗ろうとしているとか…主人公には逆行を浴びた背中と、庭に伸びた影法師しか見えなかった。

って、感じを書きたかったわけだ。



★☆★


次のお題は〖不快指数〗

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