第55話

 SSランク級冒険者たちが倒してきた魔物の死骸はまず、冒険者ギルドの方に預けられ、結果発表時に受付嬢さんたちが運んできてくれることになっている。

 受付嬢さんたちの手によって続々と運び込まれるSSランク級冒険者の狩った魔物たち。


「ふふん」

 

「……」


「……ギリッ」


「ま、だろうな」

 

 運び込まれた魔物の強さでSSランク冒険者たちのランキングが決まる。

 順位としては一切変動しない。ニンニア、ノーネーム、ガンジス、ミネルバの順番だった。

 例年との違いはライントが居ないだけである。


「そ、それで最後ですね……これは頭だけとなります」


 最後……僕の番。

 受付嬢さんが


「「「「『『『『神より宿し天命』』』』」」」」

 

 それに対して強く反応したのはSSランク級冒険者たちだった。

 彼ら、彼女らは一斉に戦闘態勢に入り、己の武器である『神より宿し天命』を構える。


「……く、首?」


「……?」


「死んでるん……か?」


「の、ように見えるけど……」

 

 SS冒険者冒険者たちは運び込まれた首を前に困惑する。


「いや、生きているのを運んで来なかったら大問題だろ」


「……そ、そうだが……一体こいつは何だ?」


「999階層にいたドラゴン」


「は……?」

 

 僕の答えにその場にいた全員が固まる。民衆までもだ。


「……え?ぁ?はい……?」

 

 理解出来ないと言わんばかりに困惑し続けるガンジス。


「え?ど、どうやって999階層に行くんだ?流石に遠すぎるだろ」


 そんなガンジスが悩んだ挙げ句の一言がこれだった。

 ……このドラゴンが先じゃないのか。


「ん?ダンジョンの床をぶち抜けば一瞬でしょ?」


 聞かれた以上はそれに答える。

 僕は999階層に行く方法を端的に告げた。


「「「「いや、出来ないからッ!?」」」」

 

 その僕の答えを聞いて他の四人は驚愕する。

 誰もが思った行為。

 しかし、誰もやらなかった……いや、誰にも出来るはずのない行為を前に世界の武の最高峰たるSSランク級冒険者の四人は絶叫した。


「え?マジ?一階層くらいぶち抜けるでしょ」

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