第49話

「ん……あぁ……」

 

 僕は口から音を漏らし、ゆっくりと体を動かす。


「おはようございます。アルミス様」

 

「ん。おはよう」

 

 僕の眠るベッドの隣に置かれている椅子の上に座るミリアの挨拶に僕も挨拶を返す。


「マキナを起こしてまいりますね。すでに朝ごはんは用意してございます。リビングのほうに置いてありますので、お先にお食べください」


「うん」

 

 僕はミリアの言葉に頷き、ゆっくりとベッドから起き上がる。

 積極的にお世話をしてくれようとするミリアがいつも通り作ってくれた朝ごはんを食べるべくリビングのほうへと向かう。


「いただきます」

 

 僕がいそいそと食べ始めていると。


「おはよう。アル」


「あ、うん。おはよう」

 

 ミリアに起こされたであろうマキナがリビングのほうにやってくる。


「「いただきます」」

 

 リビングには三人揃い、朝ごはんを食べ始める。


「それで?今日はどうするの?」

 

 朝ごはんを食べながら、マキナがミリアに尋ねる。


「はい。別に何か特別なことをするつもりはございませんよ。元の予定通り、ダンジョン探索でしょう。ここまで来てバックレるわけにもいきませんしね」


 マキナの答えは非常に簡単でわかりやすかった。


「そもそも今回の件に関して言えば、SSランク級冒険者の義務とも言える事案です。やらないという選択肢はないでしょう」


「まぁ、確かにそうね」


「僕が皇帝であることを晒せばすぐになんとかなるような気もするけど」


「いえ、アルミス様。手札があるに越したことはありません。SSランク級冒険者という地位をみすみす手放す必要はないでしょう」


「まぁね」


「ですから、予定通りに行っていきましょう」


「それでミリアがいいのであれば、僕はありがたくSSランク級冒険者として活躍させてもらうけど」


「はい。それで構いません。私はアルミス様が一番ですので、アルミス様のためにならないことを致しませんよ」

 

「……そ、そう。じゃあ、とりあえず今日は一緒にダンジョン探索するってことでいいかな?」


「もちろんにございます」


「……うん」

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