第30話
マキナの日が終わった次の日。
本来であればマキナの日になるのだが、延期してもらった。
その理由は簡単で昨日僕につかかってきた男の裁判を行わなくていけないからだ。
「ふー」
昨日、僕は0時になる直前までマリーと共におり、その後すぐに裁判に関しての情報を求められたため、僕は結局一睡もしないまま今を迎えている。
「……」
アルビナ帝国中央最高裁判所。
帝都に設置された裁判所であり、超凶悪犯罪、貴族による犯罪時に使われる裁判所。
そこに僕も含めた多くの貴族が集まっていた。
「皇帝陛下、入ります」
「うむ。入室を許可する」
裁判所の扉が開き、近衛兵に連れられたマリボリとその父親が連れてこられる。
そこで裁判が開始される。
裁判長がなにやら言っていることをぼーっと聞き流す。
「被告人は証言台の前に立ってください」
「申し訳ありませんッ!!!!!皇帝陛下ッ!!!!!」
連れてこれた男……父親が証言台に立ったその瞬間に見語なまでの土下座を決め込み、大声で叫んだ。
「どうかッ!!!どうかこの一件は私の首並びにこのバカ息子の首でどうかッ!お許しを!!!」
惚れ惚れするほどの土下座。
美しいまでの土下座。
それはこの場にいる貴族たち全員を圧倒した。
「ふむ」
皇帝陛下への直訴。
それは実に正しいやり方だろう。この場で覆せるのは僕の言葉のみ。
「まず言っておこう。我はお忍びとして市井に出ていただけだ……元より我は一族を斬首にするつもりなどない」
「なっ!!!ほ、本当にございますか!?」
「うむ。我は嘘をつかず、また言葉は曲げぬ。だがしかし、貴族が己が権利を傘に着せ、民衆に無理強いを強いることを我は許さぬ……そして、それは全ての貴族も含む。我は貴様の一族のみならず、あなたも断罪せぬ。だが、それは殺せ。我からは以上だ」
僕からの言葉は以上。
そして、裁判も以上だ。
皇帝陛下である僕の言葉は絶対である。僕の決定に対して有無を言えるものなどいない。
僕の答えがアルビナ帝国においての全てだ。
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