第28話
アルビナ帝国の中心死である帝都は世界で最も活気あふれる街である。
「おーッ!!!」
商店街に並ぶ屋台の数、そこに行き交う人たちの数は他国とは一線を画すだろう。
マリーは初めて来る市井の商店街に歓声をあげ、瞳を好奇心に輝かせる。
「おっちゃん。串焼きを二本ください」
僕はそんなマリーを横目に屋台のおっちゃんに売り物である串焼きを二本所望する。
「あいよ」
屋台のおっちゃんは僕の言葉に頷き、焼いてある串焼きを二本渡してくれる。
「ありがとうございます」
それを受け取った僕は標準的なお金をおっちゃんに渡してからマリーのもとに戻る。
「マリー……はい」
「こ、これが屋台飯……そして、買い食いッ!」
マリーは感激しながら串焼きを口に含む。
「知っている?皇帝陛下が市井にお忍びに来ていた話」
「もちろん。今はその話題で帝都埋め尽くされているじゃない!皇帝陛下がただの一市民と同じ目線で話されたのよ?すごくない?」
「皇帝陛下もお忍びで来られることがあるのね……正直に言って怖い方って印象を持っていたのだけど、紳士な方なのね」
「……」
帝都の街では僕が現れたことに対する話題で一杯だった。
「うまうま」
マリーはそんな会話なんて一切聞かずに串焼きを頬張っている
なんというか……町娘にしか見えない格好でそんな物珍しそうに食べるものじゃないと思うんだけど。
田舎者扱いで済むかな?
「こんなに活気があるのね!」
「これがアルビナ帝国の力だよ。我が国とは段違いだな」
僕は他国の人間という設定で行くことに決める。
「すごいわね……多分、この国を統治する皇帝がよほど素晴らしいのね?」
マリーは僕にからかうような視線を向けてきながら口を開く。
「ふっ。当然だ」
それに対して僕はドヤ顔で断言する。
皇帝陛下である僕が優秀で、完璧なのは語る必要もない当然のことだ。
「あら?じゃあ……隣に歩く女性に似合うアクセサリーくらい簡単に選べるわよね?最高に似合うやつをお願いするわ」
マリーはアクセサリー店の前で止まった。
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