第25話
「こ、皇帝……陛下?」
呆然と……ありえないと言わんばかりに周りの大人たちがポツリと呟く。
「あ、あ……あぁ……皇帝陛下ッ!!!」
「は、ははッ!!!」
そして、慌てたようにこの場にいる全員が僕に対して跪く。
「良い……我はお忍びで来ておる。この場における不敬は問わぬとも」
僕はそう宣言した後、足を折って僕も膝をつく。
「頭を上げてくれたまえ」
「ふぇ!?あ、は、はい!!!……えぇぇぇぇぇえええええええええええっ!?」
僕の言葉を聞いて看板娘ちゃんが慌てたようすで顔をあげ、すぐ近くにある僕の顔を見て驚愕の声を上げる。
息とつばが僕の顔にかかる……ごちそうさまでござる。
「我の恩寵を受けし貴族が迷惑をかけた。本当に済まない」
僕は看板娘ちゃんに対して頭を下げる。
平民に対して皇帝が頭を下げる。それは歴史の中でも初めてのことだろう。
「え?え?え?そ、そんな!お顔をお上げください!!!」
深々と頭を下げた僕に対して看板娘ちゃんが慌てたような声を上げる。
「許してくれるのか。それはありがたい……」
僕は看板娘ちゃんの言葉を聞いてようやく顔をあげる。
「そ、そんな……わ、私如きが許すなど、お、お、お、恐れ多い……」
看板娘ちゃん声を震わせながら告げる。
「たとえ……頂点に立つ者であれど誤ったことをすれば謝る。それは当然だろう?」
「それは……あなたの美徳だけど、フレンドリーさは民衆には毒ともなるんだよ」
いつの間にか立ちあがっていたマリーが僕の方に近づいてくる。
「だが、苛烈さよりはマシだろう?」
「まぁ、ね」
僕の言葉にマリーは頷いた。
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