第22話
「美味しいわね!これ!」
マリーは口いっぱいにソースをつけながら笑顔で話す。
「うん。そうだね」
僕はそんなマリーを眺めながら焼きそばを口に含む。
「ねぇ、アルミスは何を使っているの?」
マリーが僕の持っている箸を指差して尋ねてくる。
「ん?箸のこと?僕はこれが使いやすいんだよね……多くの人が使えないから普及させていないんだけど」
僕は自分専用に作らせた箸をマリーへと見せる。
異常なまでに豪華なやつもあるが、今僕が使っているのはただの木で出来た質素なものだ。
皇帝が一体何を使って食事を摂っているかなんて民衆が知るわけない。ここで僕が箸を使っても別にバレないだろう。
「へぇ……私も使っていい?」
「うん。別に良いよ」
僕は箸をマリーへと渡す。
「ふぇ!?」
箸を受け取ったマリーは何故か表情を真っ赤にし、慌ただしくころころと表情を変える。
「……?」
「や……やっぱ良いや……」
そして、箸を一切使うこと無く僕に返してくる。
「え?そう?」
僕は突き返された箸を手に持つ。
マリーは真っ赤な表情で黙々と焼きそばを食べ進めた。
「待って?食べるの早くない?」
僕はものすごい勢いで食べ進めるマリーに驚愕し、彼女を長い間待たせるわけにはいかないと思った僕は慌てて焼きそばを口に含んだ。
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