第7話

 アルビナ帝国へと向かっていく一つの馬車。

 サーシャの用意したアルビナ帝国に君臨している皇族専用の豪華な馬車に乗った僕たちは


「おぉー」

 

 僕は今までずっとつけていた髪を染めるこの世界特有なちょっと特有な染料を落とし、本来の髪色を取り戻してカラコンも外すことで本来の瞳の色も取り戻す。


「きれいですね」


「うちの一族は見た目もきれいだからね」

 

 僕は自分の輝く金髪に手を入れて、イジる。

 アルビナ帝国の頂点に君臨し続ける皇族の見た目もまたすごくて、美しい金髪に宝石のような碧い瞳を持っている。


「まぁ、僕が隠していたのは髪と瞳だけだし、そんな変わらんやろ」


「……確かに変わらずモテてたよね」


「世界に君臨する一族の人間がモテないわけないだろ」


 僕の体に流れている血はこの残酷なまでに才能至上主義の世界で理不尽なまでの力を見せる。


「当然のことです。我らがアルビナ帝国の第三皇子なのですから。世界のすべてを手にするほどの才能を持っているのですよ」

 

 当たり前のように同じ馬車へと乗っているサーシャがニコニコの表情を浮かべて会話に混ざってくる。

 つい先程、僕にびっくりするくらいビビっていた人とは思えない変わりようである。

 

「そんなにすごいの?……アルが特別なんじゃなくて?」


「はい。皇族の人間であれば等しく全員が優秀です。武力も知略も。武力も全員がSSランク級冒険者に匹敵するもので、知略に関しても」


「知略はそこまでだけどな」

 

 僕はサーシャの言葉を遮って口を開く。


「知略という面でマキナが恐れる必要はないよ」

 

 確かにアルビナ帝国の皇族であればみんな天才ではあるのだが、それでも天才であるからゆえの驕りと慢心のせいで鈍りに鈍りまくっている。

 武力に関して言えば力押しでなんとかなるが、知略に関しては考えるという行為をしなければならない。

 直感だけでもかなりすごいが、すごい止まりである。


「ふわぁ……皇族の連中の性根は調子に乗り、権力に酔いしれるただの人間だよ。取るに足らないね」

 

 うちの帝国の人間は全員慢心しすぎだと思う。謙虚さを取り入れたらもうちょいうまく行くと思うんだけど。

 少なくとも、僕の手の平で踊る羽目にはなっていないだろう。

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