第33話
底へ、底へと堕ちていく僕。
自身の体に巻き付いている闇によって堕ちていく。
────ッ。
堕ちて、堕ちて、堕ちた先に。
ダンジョンの最下層へと。
「ふー」
僕は自分にまとわりついている膨大な闇をすべて払い、空を支配する。
「……多いな」
どこまで続けているか。
見ることのできない真っ白な巨大な空間。
地面を這いずり、無限に膨張しているように錯覚する膨大の闇。
真っ白な空間の床を、ただの黒が占めていた。
「ふー」
僕へと伸ばされるあまりにも数が膨大すぎる闇の数々。無限に増え続ける闇の数々。
それらを淡々とすべて刀を振り回して払い続ける。
だがしかし、これらの闇は本当に膨大で、どれだけ僕が払おうとも一切減った気がしない。
「んー。どうしょ。こいつがまだ残っていると思わなかったんだけど……」
かつて。
世界を混沌の渦へと叩き落としたと言われている邪神。
我ら人類へと愛を授けてくださっている偉大なる女神様の寵愛を受ける人類に嫉妬し、人類を滅ぼすために魔物を作った邪神。
魔物に対抗する術『神より宿し天命』を授けてくれた女神様を殺害し、亡き女神様の寵愛を一身に背負った伝説の勇者によって『ダンジョン』へと封印された邪神。
「まーじでどうしようかなぁ」
そんな邪神の抜け殻を前に僕は途方に暮れた。
今の僕の火力じゃこいつを落とせる自信など……。
「はぁー。全力でやるか」
普段は使わない本気。
ガッツリと生きる気力をそがれる上に、ものすごく疲れる本気。
僕はそいつを開放することを決意する。
天魔之明暗刀の展開を解除し、白銃一本に絞る。
「『神より宿し天命:神装開放』」
白銃が膨大な光に包まれた。闇を払う膨大な光に。
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