第32話

「あれは……一度に全部はふきとばさないだろうからな……」

 

 僕は黒い影の魔物を見て眉をひそめる。

 一回刃を入れただけでなんとなくわかってしまう。一度にすべてを吹き飛ばすことは不可能だと。


「とりあえず永遠と斬ることしかできないか。ダンジョンの触手の対処は全部僕がするから、マキナとミリアも黒い影に攻撃し続けて」


「うん」


「了解です」


 僕が二人へと指示を出した後、黒い影の魔物の方へと足を一歩前に出す。 

 一歩前に出した足で地面を蹴り……僕の足が動かなくなる。






 突如として姿を表したどす黒い闇に足を取られて。

 

 

 

 

 ……ッ!!!これはッ!?

 僕は慌てて白銃を展開し、どす黒い闇へと弾丸を撃ち込む。特異弾の一つである『遅滞弾』の力により、どす黒い闇の動きはゆっくりとなっていく。


「アル!?」


「大丈夫ですか!?」


「逃げろッ!ふたりとも!僕は問題ないけど……ッ!一旦戦線を離脱するッ!さっさと上層へと転移しろッ!」

 

「了解しました」

 

 ミリアは僕の言葉に頷き、上層へと転移して逃げる。

 転移する際の条件として、敵に命を狙われていないこととあるのだが、今は黒い影の魔物は僕の足に絡みついているどす黒い闇へと意識を奪われているので、転移可能だ。


「……ッ!そんな!アルを置いていくなんて!」


「足手まとい!早く上がって!すぐ守れなくなるからッ!」


「……ッ!わ、わかった……」

 

 マキナは僕の言葉に頷き、上層へと転移して消えていった。

 

「ふー」

 

 そのタイミングで一気に地面からどす黒い闇が吹き出し、ダンジョンの床をきれい破壊する。

 壊れたダンジョンの床の下。

 そこに広がっているのは無限の黒、闇。


「……」


 僕は自分の方へと伸ばされる闇へと掴まれ、僕は奈落の底へと引きずり込まれる。



 そして、すぐさまダンジョンの床は治り、闇は消えていった。

 黒い影の魔物を置き去りにして。


「菴墓腐菴墓腐菴墓腐菴墓腐菴墓腐繝?シ?シ溽ァ√r??シ滄が逾樊ァ倥?縺翫♂??が逾樊ァ倥?谿区サ薙h??シ」

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