第26話

「この……クッキー?というお菓子の作り方。今度教えてくれないでしょうか?」


「ん。良いよ……クッキーだけじゃなくて、他のお菓子の作り方も教えてあげる。


「ありがたき幸せにございます」


「ん」

 

 僕とミリアは二人でダラダラとクッキーを食べ、紅茶を飲みながらダラケていた。


「でも、あんまりお菓子の材料とか量産されていないんだけどね。お菓子って売れるかな?」


「申し訳ありません……お力にならず、世間のことをあまり知らず……わかりません」


「ははは。そうだったわ。ごめん。まぁ、そこら辺は別の奴に一任しているし……そいつならうまくやるだろう」

 

 僕の協力はいくらでもいる。色んな人と関わる酒場のマスターに、凄腕の商人に、コネの多い貴族に……成り上がるためには絶対に必要な影に住み、隠れ続けていた僕の持つ相手の弱み、コネは絶大な力を持つ。


「というか、僕に対して必ず敬語使っているけど……別に僕に対して全然敬語使う必要ないからね?僕以外には敬語使わないよね?」


「いえ、私はアル様の奴隷ですので、お気になさらないでください」


「そう……?それなら良いけど。別に僕は奴隷であることを強要したりしないし……もう奴隷契約を解除してあげてもいいけど、どうする?」


 僕の提案。

 別にミリアは奴隷じゃなくても僕に従ってくれるだろうし、指揮官が奴隷なのもちょっと疑問が残るから……取っ払った方が良いかな、って思うんだけど……。

 まぁ、うちの人間は全員奴隷だし、ぶっちゃけどうでも良いんだけど。


「いえ!私はあなた様の奴隷でありたいのです!私はあなた様の奴隷として生涯尽くし、お世話し続けたいのです……だ、駄目でしょうか……?」


「そう?……じゃあ、よろしく頼むね」


「はい。お任せください」

 

 僕の言葉にミリアは笑顔で頷いた。別に奴隷でなくとも僕と一緒には居られると思うんだけど……なんでわざわざ奴隷にこだわっているんだ?

 まぁ、ミリアの自由だし、本人が奴隷居たいというのであればそれで良いけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る