第25話

「なるほど……単に敵を殺せば良いと言うわけではないのですね」


「そうだね。というか、実際の軍事力も重要だけど、外交能力。情報収集の技能の方が大事とさえ言えるよ」

 

 軍事力だけでなんとか出来るのであればドイツくんが地球の覇者になっていることだろう。


「なるほど……」


「良い策を考えるためには何よりも情報が大事なの。すべてを知っていれば馬鹿であっても天才の指揮官に勝利出来る。アルビナ帝国は質より量を重要視する国家。凡の指揮官が天才の指揮官に勝利するため、他国とは一線を画す情報網を構築している。その情報網を構築する部隊の一端を担う組織の頂点にミリアを置いている……君の責任は重いよ?」


「そのような重要な大役を仰せつかり、ありがたき幸せにございます。責任を持ち、従事していきたいと思います」


「うん。頼むよ……とりあえずは……」


 今、僕とミリアは奴隷商の拠点の一室でお勉強をしていた。

 教えているのは基礎的なことから専門的なことまで。

 今、やっているのはミリアが自分で組織した情報部の運用の仕方について。

 ミリアは頭が良くて、要領が良く、たった数日間の勉強だけで歴戦の指揮官よりも優れた指揮官になるほど優秀なのだ。

 なんかいつの間にか美味しい紅茶を淹れられるようになっていたしね。


「とりあえずはこれで良いかな?」

 

「なるほど……勉強になりました」

 

 基礎的なこと、覚えておかなければならないことをすべて教え終えた僕は言葉を切り、体を大きく伸ばす。

 後は実際にミリアが経験をこなし、スキルアップしていくだけだろう。始めたばかりの状態で机の上で出来ることは教えられたと思う。


「良し!休憩しようぜ!勉強で疲れただろうし……この後、行う予定の兵士の訓練具合を確認するのにもかなり時間がかかるだろうから、ここで休憩をしておかないとね!」


「……ッ!はい。承知致しました。ティーセットをお持ちして参りますので、少々お待ち下さい」

 

 ミリアは機嫌よくティーセットを取りに行った。

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