第24話

「おぉー……こ、これはすごい……一体どこからこんな業物の数々を……」

 

 僕の用意した鎧と馬。

 それを見て、戦争に負けて滅びた小国の将軍だった男が感嘆の声を漏らす。

 将軍だった男は戦争に負けた際、奴隷に落とされていて、それを僕が買ったのである。


「これが世界に君臨するアルビナ帝国の力だよ」

 

 用意した鎧と馬はアルビナ帝国が誇る最高品質の数々。

 他国が決して敵うことのない圧巻の力、強さ。

 

 他国が個々人の『神より宿し天命』を鍛え、強くしようとしているのに対し、アルビナ帝国は全員に鎧を被せ、馬に乗せ、同じ種類の武器を持っている面々を集めて隊を作り、数で圧倒する。

 そんな戦争をアルビナ帝国は行うのだ。

 

「流石ですわい。これは……他国とは何もかもが違いなされる。お、恐ろしいものですな……これだけの数の質を用意出来る国でありながら絶大な力を誇る英雄の一族もおるのですから……」


「当然だ。特別だからこそ頂点に居るのでな」

  

 アルビナ帝国が戦争になれば皇族のほとんどが戦争に駆り出される。

 絶対の英雄として。

 ナポレオンのように戦争を支配出来る絶対の英雄だからこそ皇帝という地位に座っているのだ。

 我らが一族は。


「さて、と。君を頂点とする奴隷軍団。まず馬に乗るのは槍兵と弓兵だ。剣士は歩兵だ」

 

 奴隷軍団に割り振った者たちはみな槍、弓、剣、いずれかの『神より宿し天命』を持っている人である。

 短剣など、他の武器を持っているものは特殊部隊として制定し、その指揮権はミリアにある。


「騎兵……特に重装弓騎兵となる者たちの訓練には時間がかかるだろう」

 

 僕はアルビナ帝国にも居ない……日本くらいしか僕の知識にはない重装弓騎兵というきしょい兵士を用意したいので、スパルタを超えたスパルタな訓練を施し、なんとか物になるようにして欲しい。

 まぁ、別に物にはならなくても訓練のためのマニュアルさえ作ってくれればいいけど。


「えぇ……訓練のほどはお任せください。必ずや誰にも負けぬ軍隊を作り上げて見せます」


「あぁ。うん。期待しているよ」


「……ッ!か、必ずやご期待に答えてみせまする……ッ!」

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