第22話

 冒険者ギルドからマキナの家へと帰ってきた僕。


「ぷぅ……ひどいよ。せっかくの私とのデートだったのに!放り出すなんて!」 

 

 案の定、マキナはデートを途中で中断され、玄関のところで不満な表情を浮かべてその場に立ちふさがっていた。

 これは至極当然のことだろう。


「ごめんね。……ちょっと冒険者ギルドの方も大変みたいで……いつかまた埋め合わせするから許して!」

 

 埋め合わせの埋め合わせとかマジで意味わからないな……。


「明日!明日埋め合わせして!ミリアは泊まらせるんでしょ?」


「いや、明日はミリアを送った奴隷商の方に行かないといけなくて……」


「え?」

 

 僕の言葉を聞いたマキナがピタリと動きを止める。


「……ん?え?……アルはミリアとふたりきりになるの?私を置いて……?本当に?ねぇ……」

 

 マキナは僕の方へと一歩踏み込んで距離を詰め、至近距離から睨みつけてくる。


「いや、別に僕と繋がりのある多くの人が居るから二人きりではないけど?」


「私も行く」


「いや、それは無理だ」

 

 僕はマキナの言葉を一言で切り捨てる。

 マキナを奴隷商の方まで一緒に来させるわけには行かない。


「ッ!!!なんで!?別に私は奴隷を見ても何も思わないし、努力の足りない猿としか思ってないから!私は……ッ!」


「そういうことじゃないから。申し訳ないけどマキナを連れて行くことは出来ない」

 

 こればかりはどうしてもマキナを連れて行くわけにはいかない。マキナを巻き込みたくないのだ。


「なんで……ッ!なんで!ひどいよ!……ありえない!」

 

 マキナが珍しく敵意むき出して僕のことを睨みつけてくる。


「仕方ないじゃん……こればっかりは連れて行くわけにはいかないんだよ。今日はまだあるし……ディナーを楽しも?」


「……楽しむ」

 

 マキナは僕の言葉に頷き、二人でキッチンへと向かって料理を作り始めた。

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