第20話

 金玉が正常に戻ったガンジス……ようやく会議がスタートした。

 

「で?そもそもこれは何の会議なの……?僕は未だに何も聞かされていないんだけど……」


 僕は会議室の中、口を開く。

 つい先程まで僕はマキナと出かけていたこともあり、何も聞かされぬままここに連行されてきたのだ。

 事情などまるで知らない。


「あ?こんなに強いやつに情報が回ってないのか?ここは一体どうなっているんだ……?」


「あぁ。この少年は少々特殊でな……連絡は諸々の細かいが決まってからとなっているのだ。本人たっての要望でな」

 

「うん。そうだね。……あまり面倒事には関わりたくはないからね。どんな障壁であれ、僕なら問題ないし、色々決まってから聞くので問題ないからね」

 

 僕にとって冒険者としての事情は……あまり興味がない。アルビナ帝国に戻り、最終目的を果たす前の急ごしらえの立場ですらない。

 僕の本能は冒険者のトップになれと騒ぎ、僕もそれを達成するためにある程度の働きはするが、そこまで本腰を入れるわけではない。


「だから、本当はここにだって来たくなかったんだけど……」


「す、すまない……だが、今回の話はかなり重要で、わざわざ外部からSSランク級冒険者ですら呼び寄せる事例なのだ。ぜひ、話を聞いて欲しい」


「……なんで外部から呼ぶ連中がこんな血の気が盛んなんだよ」


「ハッ。腑抜けた顔をしていやがるあの男に一発気合入れてやれねぇと思ってな。ミンスクにフルボッコにされるようじゃ使い物にならねぇからな」 

 

 ガンジスはマーベスの方へと視線を向け、スキンヘッドの大男の名前を呼び、自分の言葉を僕に伝える。


「いきなり町中で『神より宿し天命』を展開して僕に切りかかってくるような奴が派遣されてくるSSランク級冒険者にふさわしい男であるという事実に僕は驚愕の感情を抱いているよ?」


「……こんな俺が一番SSランク級冒険者の中で一番まともという……そんなやべぇ奴らの集まりなんだよ。SSランク級冒険者って連中は。俺はただ言動や行動が粗暴で、戦いが好きなだけだからな。自分で言うのもなんだが、最強レベルの力を持ったただのチンピラレベルだ」


「……」

 

 町中でいきなりって何?って思ったけど、僕の知っているSSランク級冒険者はガンジスよりも遥かに変人であったことを思い出し、沈黙する。


「まぁ、うん。良いや。過ぎたことだし、どうせ僕もここに居るのだし。ここでグチグチ言っていても何も変わらないからねそれで?議題ってなんなの?」


「ここのところ不穏な動きを見せているダンジョンについての話だ」

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