第15話
ミリアがアーレス町での生活も慣れ、弐式が自由自在に使えるようになった頃。
「良し!久しぶりのふたりきりだね!」
予定では一週間後に奴隷商へと行かせるつもりだったミリアなのだが、なんやかんやあってかなり遅れ、一ヶ月も経ってしまった。
「そうだね……遅くなってごめんね」
「良いんだよ!ふたりの時間が出来たんだからね!」
マキナはこれ以上ないまでに上機嫌だった。
「じゃあ、服を買いに行こうか。もうすでに季節は変わっているし」
「うん!そうだね!デート!デート!ちょっと待ってて!着替えてくるから!」
「うん」
この大陸全土にはしっかりとした四季が存在する。
春、夏、秋、冬と日本と同じように……まぁ、梅雨はないし、夏は日本のようにムシムシしていなくて快適で、日本よりも遥かに住みやすいけど。
梅雨ないから農業水を確保しずらいけど。
「おまたせ!」
しばらく待っていると、バッチリとおめかししたマキナがリビングの方にやってくる。
「良し。じゃあ、行こうか」
「うん!行こ!」
僕とマキナは家から出て、お店の方に向かった。
■■■■■
「何が良いかなぁ……」
僕は服を選んでいるマキナを見る。
「ほら、これを当てて見て」
「ん」
僕はマキナの手に握られてる服を受け取り、自分の体に当てる。
「うん!すっごく似合っているッ!……他には何をするべきかな……」
マキナはすぐに別の服へとてを伸ばし、良いのを探し始める。
今、マキナが僕の服を選んでくれているのだ。
「あっ!こんなの良さそう!ちょっと当てて見て!」
「ん」
僕は何も逆らわず、大人しくマネキンとしての役目を果たす。
女の子の買い物には逆らわない方が良い……それが僕の前世で得た経験である。
「んー。どれも良くて、迷っちゃうなぁ……」
悩みながら色々な服へと手をのばすマキナ。
僕はそれをぼーっと眺めながらマキナについていった。
ちなみに買った服は結局最初の方に選んだ服だった。
うん。選んでいた時間は何だったのだろうか……?
マキナが楽しんでいたのであればまぁ……良いんだけど。
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