第9話
「……なんでこんなに不穏な空気なの?」
酒場のマスターとの会話を終え、マキナの家に帰ってきた僕はリビングに置いて険悪な雰囲気で睨みあっていたマキナとミリアを見て首を傾げる。
「なんでもない」
不機嫌ですオーラ全開のマキナは僕に対して口を開く。その声もまた、不満げだ。
「何も問題はございません……マキナ様よりこの街で生きていくだけの基礎知識はお教えさせてもらいました」
「そう……なら良いけど」
なんでこんなにも二人が険悪で、不機嫌なのか。
疑問に思いはするものの、僕にはあんまり関係ない。放置案件でいいだろう。
女同士の喧嘩、ギスギスに絶対に関わってはいけない。
僕の前世の友達が強く……強くそう話していたのを僕は思い出す。
ちなみにそいつは喜々として面倒事に顔を突っ込んでいって火傷するような奴である。
「じゃあ、ミリア。僕と一緒に来て、君が『神より宿し天命』を使えるようにするために訓練してあげるから」
「ふんっ」
「……は?」
僕の言葉を聞いたマキナが不機嫌に鼻を鳴らし、ミリアが疑問符を上げる。
「わ、私が……『神より宿す天命』を使える……?も、申し訳ありません。ご主人さま。私は能無でございます……『神より宿す天命』を使うことは……」
「問題ない。僕だって能無として生まれている。ただ使い方がわかっていないだけ。然るべき特訓をすればミリアも普通に使えるようになると思うよ」
「本当ですか!?」
「本当だよ……だからこそ、僕は君をわざわざ貰ってきたのだから。ここの地下に僕が作った多目的室があるから、そこに行こうか」
「はい!」
僕の言葉にずっと死んだようだったミリアがテンション高く頷く。
「マキナも来る……?見て損するものじゃないと思うけど」
僕は不機嫌だったマキナの方へと視線を向けて、口を開く。
「……行くわ」
「おっけー。じゃあ、みんなで行こうか」
僕はマキナとミリアを引き連れて、地下の多目的室へと向かった。
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