第10話

 マキナの家の地下にある多目的室。

 そこに僕とマキナとミリアがやってきていた。


「ちょっとまってね。色々と片付けちゃうから」

 

 僕はテーブルの上に乗せられている様々な実験道具、データを片付けて行く。

 ここは訓練や、実験……様々な用途と使われている場所である。

 鉄の棚にすべて仕舞い終えた後、僕はテーブルや椅子なんかを端へと運んで広いスペースを作る。


「良し、と。じゃあ、とりあえず中心に来てよ」

 

 部屋の中心に立った僕はこっち来るように手招きする。


「は、はい……」 

 

 ミリアは緊張したような面持ちで僕の方へと近づいてくる。

 僕の前でミリアが止ま……待って?近くね?こ、こんなに近くなくても良いんだけど?

 

「ギリギリ」


「良し。じゃあ、やるよ。ちょっとした衝撃が走ることになると思うけど……我慢してね?」

 

 僕はミリアの頭へと手を置く。


「は、はい……」


「マキナ。君もよく見てて。力の流れを」

 

「……えぇ。これは。力の付与。事務的なものだから。当然勉強のために見るよ。うん。当然」

 

 なんかブツブツ言っているマキナのことは無視して、ミリアへと意識を向ける。


「ほい」


「……あぁんッ!?」

 

 『神より宿し天命』。

 それは神によって齎される膨大なエネルギー。力の集合体。

 ミリアの中に眠っている膨大なエネルギーに自分のエネルギーをぶつけ、強引にミリアの中のエネルギを開放させる。

 

「んっ……ぁ。はぁッ!」

 

 僕がミリアに対して流し込んだ膨大なエネルギーが彼女の体の中を荒れ狂い、強引に『神より宿し天命』を引きずり出す。


「……ッ!これは……」

 

 彼女の中にあるエネルギー……その強さに僕は驚愕する。想像していたよりも遥かに強いエネルギーを秘めていた。

 

「……目、か?」

 

 僕はミリアの目の周りに膨大なエネルギーが渦巻いているのを感じ……何か嫌な予感がしたので、目元を自分の手で覆ってやる。


「はぁ……ンッ!!!」

 

 僕は強引にミリアの膨大なエネルギーを開放し……『神より宿し天命』を使えるようにした。


「はい。おわーり」

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