第7話

 沈黙に支配されたマキナの家。

 リビングに置かれているテーブルでマキナとミリアが向かい合い……沈黙を保ち続けていた。


「アルに言われているから……とりあえずやるわよ」

 

 その沈黙を打ち破るようにマキナが口を開く。


「でも、これだけは忘れないで」

 

 マキナが立ち上がり、座っているミリアの耳元で口を開く。


「アルは私のだからアルは私の友達で最も大事な人でアルもまた私の思いに答えてくれているの私とアルとの間にお前如きの入る隙間はない薄汚い奴隷風情が入れれるはずがないでしょう?アルもあんたのような底辺に転がっている薄汚い奴隷に近づかれても迷惑なだけ?そうでしょう?あなたもわかるでしょう?自分が如何に矮小な存在で下らない存在で低俗な存在であることを最も理解しているでしょう?あなたはたまたまただの道具としてアルに認められてただけ大切な人である私とは雲梯の差があるのあなたは道具らしく端っこで転がり沈黙を保ち続ければ良いそうそれで良いのだそれこそが正解なのただの道具がアルの隣に立てるなんて決して思わないことねえぇそうよアルは私のなの私はアルに愛されているのアルは私だけを見ていればいいし、私もアルだけを見続けるそれは至極当然の話なのアルは私を頼って生きていて食べているものも着ている服も住んでいる家も私が用意しているのアルは毎日私の一部を食べていてもう一つと言ってもいいのそうなのそうなっているのそれが当然の行いなの私とアルは既に一つで一心同体運命共同体なのたとえ何があろうと同じ世界線に居て同じ時を過ごすのそういう風になっているのそういうにしたのそうなのそうなの私とアルは絶対に離れない私はアルだけを見てアルは私だけを見るそれが世界の正しい姿なの」

 

 マキナは一切言葉を止めず、切らず。

 濁流のように言葉を流し込む。


「良い?わかった?決して……アルには近づかないことね。さて、まずは外出してみよう。常識ってことはとりあえず外で生活出来るレベルにすれば良いのでしょう?」

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