第6話
「帰ったよー」
アルビナ帝国からリューエス王国にあるマキナの家に帰ってきた僕はリビングに居るであろうマキナに聞こえるような大きな声で告げる。
「遅いッ!帰ってくるって言った一週間から34時間12分26秒経っているよ!」
「え?細か……」
僕を出迎えてきたマキナの言葉を聞いて、引いた声を漏らす。ちょっといくらなんでも数字が細かすぎない……?びっくりするくらい細かい数字が出てきたんだけど。分?秒?……秒とかどうやって出しているの?
適当?……ガチで図っているんじゃないよね?
「当然だよ!」
僕の言葉に対してマキナはぷりぷりと怒りを顕にする。
「お、お邪魔します……」
そんなタイミングで僕が奴隷として買ってきた奴隷、ミリアが家の中へと入ってくる。
ちなみに彼女は名前を持っていなかったから僕がつけてあげた。
「え?」
ミリアの姿を見たマキナが動きをピタリと止める。
……?どうしたのだろうか?何かあったのかな?まぁ、良いや。
「その子……誰?」
無表情となったマキナが僕に尋ねてくる。
「買ってきた奴隷。使えそうだから拾ってきた。まともな教育を受けないから、この子に常識を教えてあげてほしい。頼める?マキナ」
「頼める!!!私に任せて!……待って!?違う!」
「ん?何が違うの……?」
「わ、私をほったらかして奴隷を買いに行ってたの……?」
「ん?いや、僕は売る側の人間だけど?たまたま優秀な素材が居たから貰ってきただけだよ?僕が何をしたかはちょっと言えないかな。色々と話が大きくなっちゃうから」
ただの一庶民に話す内容ではないだろう。僕の正体と何をしたかについては。
「これから酒場のマスターとも色々と話さなきゃいけないことがあるから僕は離れなきゃいけないから」
「え?……は?ちょっ」
「じゃあ、ミリアについてはマキナに任せたよ。……埋め合わせは忙しい時期が終わってからするから。それじゃあ」
「え?ちょっとッ!」
僕はミリアを置いてその場を離れ、酒場の方へと向かった。
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