第5話

 ウィルミスが管理している奴隷商のお店に僕はやってくる。


「……っ」

 

 僕は出来るだけ長くは居たくない奴隷商のお店なの中を眉を潜めながら歩く。

 ここらへんは血の匂いやら、客に対して試し売りをしたときの性の匂いやらが充満していて実に不快なのだ。


「ここか」

 

 錆びついた鉄の大きな扉の前に止まり、錆びついて動きが鈍い扉を動かして開ける。


「……ぁ、あぁ」


「ぐっ」


「……ぅ」

 

 この場所にいるのは売れそうにもないゴミたちだ。

 腕や足が欠損していたり、見た目の損ないかつ、動きを阻害するような火傷などの大怪我を負っていたり、原因が本当にわからない病に侵されている人間だったりが保管されている場所だ。

 

 ここに居る連中には治癒や手入れなどはされていない。

 傷は傷だらけのままであるため、夥しい量の血痕や流れている血の匂いはそのままであるため、この場は先程の場所よりも色濃く血の匂いが残っていた。

 


「あ、アルミス様!ようこそお越しくださいました」

 

 こんな場所で僕を持っていたウィルミスが僕の姿を見て慌てて近寄ってきて、頭をたれる。


「件の商品はこちらにございます」


「あぁ」

 

 僕は歩き出したウィルミスの後についてくる。


「こちらでございます」

 

 とある檻の前に止まった

 そこに居たのは肉付きの良い一人の女性。

 流れるような美しい白髪で、珍しい……というかリアルでは初めて見る前世でアースアイと呼ばれていた美しい瞳。

 身長もかなり高く、スタイルも抜群でムチムチ。抱き心地はかなり良さそうだ。

 交われば神に嫌われ、己の『神より宿し天命』も失ってしまうと言われているこの世で最も汚れた存在である能無でなければ性奴隷として高値で売れるが。

 

 スタイルは遺伝子的に最初から決められている不変のステータスである。デブはデブだし、ガリはガリ。痩せることも、太ることも出来ない。だって食事なんて必要ないからね。

 だからこそ、肉付きが良いって言うのは性奴隷として売る上でかなりのステータスとなる。男でも女でも。

 まぁ、男の場合は肉付きが良いよりも筋肉質の方が高値で売れるが。


「なるほど。これが能無か」

 

 僕は感情の浮かばぬ床に倒れ伏している彼女の瞳を見てにやりと笑った。

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