第4話
アルビナ帝国の経済破綻。
それは世界を大きく揺るがした。
ねずみ講によって民衆のみならず、貴族……果てには皇族まで大きな被害を出し、民衆が大暴動を引き起こす。
それにより、アルビナ帝国内のすべての業務が一時停止し、ありとあらゆる国家、産業が大きなダメージを負う。
そんな中で、今まで沈黙を保ち続け、民衆の前に姿を表してこなかった第三皇子が民衆の前に顔を出し、新しい雇用を作り、金銭の補填などを行い、民衆からの支持を急速に集めていっていた。
確実に死んでいるはずである第三皇子の登場に皇族、貴族……王宮全体が困惑に包まれ、第三皇子を捕まえようと躍起になるが、尻尾も捕まえず、そのまま。
第三皇子を無能として追放したことは民衆に伏せられているため、王宮は捕まえる事ができなければ第三皇子に対して何も出来なかった。
唐突に現れた第三皇子を旗印に民衆が集まり、経済が復興していっている表社会の中、裏社会でも大きな動きがあった。
徴税人に対して裏社会の人間が賄賂を私、流してもらうことで裏社会には大量の奴隷が流れ、そしてそれらの奴隷が全て今までの奴隷商ではない別の……たった一つの奴隷商に流れ、信じられないほどの利益を一つの奴隷商が叩き出す。
今、帝国では皇太子への期待は地へと落ち、第三皇子への期待が天へと登り、そして、その第三皇子が膨大な金銭を獲得するのだった。
■■■■■
「ん?能無の奴隷が見つかったの?ほんと?」
帝国の闇……その奥深くに潜んでいる僕の元にウィルミスからの一方が飛んでくる。
ウィルミスから送られてきた今、自分の手元にある暗号だらけの書簡を読み返し、間違いがないことを確認する。
「めずらし……マジじゃんか」
能無……『神より宿し天命』を持たぬ人間。
そんな人間は存在しない。『神より宿し天命』を持っていない人間は人間とは言えない。間違いなく。
『神より宿し天命』は人間という種に根付いている文字通り『天命』なのだ。
能無は持っていないのでなく、上手く使えない。
体に根付いている『神より宿す天命』が強すぎるがあまり上手く使えていないだけなのである。
「ねぇ。君、ウィルミスが居るところまで僕を案内して」
「承知致しました」
僕はウィルミスの書簡を持ってきてくれた子に対して口を開いた。
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