第1話
「ふわぁ……」
僕はマキナの家で大きなあくびを浮かべる。
「新しいSランク冒険者様が随分と腑抜けた表情を浮かべているのね。もっとカッコいい表情を浮かべて欲しいんだけど」
リビングでとろけたような表情を浮かべている僕を見て、マキナが口を開く。
「眠いんだよ。ふわぁ」
僕はもう一度あくびを浮かべ、眠気眼をこする。
「……もしかして不眠なの?膝枕して、子守唄を歌ってあげようか?」
「いや、別に不眠ってわけじゃないよ。少し……夜中まで調べ物をしているだけだよ」
僕がSランク冒険者になることが出来た功績……異形の魔物。
そいつについて、僕は独自に調査をしているのだ。
あの魔物は……僕の倒すべき相手と関わりが存在している魔物の可能性があるのだ。
「まぁ、でも。今日はちゃんと寝るよ。ずっと寝不足というのも体に悪いからね」
「うん。そうしてほしいな。アルの元気がないなんて嫌だし、病気になんてなってほしくないからね!ちゃんと規則正しい世界をしていないと女神さまに怒られて、体が病に侵されちゃうんだよ?」
「……そうだね」
この世界において病気は女神様の呪いと言うことになっている。
だからこそ、病気に罹るのは良い子にしてなかったそいつが悪く、生まれながらに病気を抱えている人間は能無と同じようにひどい扱いを受ける。
この世界にウイルスなんて存在しない。
それでもなお人は病気に罹る。その原因は僕にはわからない。
もしかすると病気は本当に女神様の呪いかもしれないので、僕がどうこうすることは難しいのだ。
「あッ!そ、それでさ。また買い物に行かない?もうそろそろ季節も変わるし、服も変える時期だと思うんだよ」
「ん。確かにそのとおりだね。今日はダンジョンに行かないで、買い物に行こうか」
「うん!そうし」
「大変だッ!!!」
マキナの言葉を遮る大きな声。
急にマキナの家へと駆け込んできた酒場のマスターが大きな声で叫ぶ。
「アルビナ帝国内部で前代未聞の大暴動が起きた!」
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