第18話
「ラッキー」
僕は数々の銀貨を手で転がし、笑みを浮かべながら酔いつぶれた男たちを眺める。
こいつらが白熱してお金をかけてくれたおかげで想像以上にお金が集まってくれた。
普通にこれを宝くじみたいな商売にしてしまって良いかもしれない。
「随分とまぁ……エゲツないことをするのだな。どうやってお金を巻き上げたんだ?」
僕がお金で遊んでいるのを見たマスターが尋ねてくる。
「簡単だよ。こいつらか徴収した金銭の一部を拝借して、賞金にしていただけだよ。あぁ……もちろん口は割らないでくれよ?」
「あぁ。もちろんだとも。口の硬さ。それは酒場のマスターの持つ取り柄の一つだからね」
酔った大人たちは様々なことを話し、叫ぶ。
そして、マスターはそれらをすべて余すことなく聞いているため、本当に重要なことは知らないが、ざっくりとした浅い知識を多く持っている。
だが、決して酒場のマスターはそれを決して口にしない。
だからこそ、客は気持ちを楽にして楽しくお酒を飲めるのである。
「なぁ、マスター。ここ最近。アルビナ帝国が揺れていて、それが様々のものの物価上昇に繋がるのではないかと危惧している……違う?」
アルビナ帝国の政情は少し……不安定であり、世界の超大国として君臨しているアルビナ帝国が揺らげば、それに伴って他の国々まで大きな影響を及ぼすだろう。
その影響は必ず酒場をやっているマスターにも襲いかかってくるものである。
「む……?」
マスターは唐突にそんなことを語りだした僕に驚きつつも、耳を傾けてくる。
僕の言ったことは事実であり、アルビナ帝国の政情が不安定であるという話はマスターの耳にも入っているのだろう。
「ちょっとさ。僕と一緒に小銭を稼がない?」
僕には冒険者としての活動もある。
商売をして小銭を稼ぐのであれば、協力者が必ず必要になってくるだろう。
「……普段は頷かん。しかし、君からは何か特別なものを感じる。私はこれでも多くの人を見てきた。自分の直感に対して信を置いている……良いだろう。その話。乗った」
マスターは僕の申し出に対して頷いた。
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