第16話
「ふんふんふーん」
僕は気分良く鼻歌を歌いながら、町中を散策する。
ランクアップ試験後、僕は一人で街の中を歩いていた。この街がどんな街が……良く知っておかなければならない。
僕は商売なんかも初めてみたいと思っているのだ。
「やっぱり行くべきは酒場かな……」
一通り街の中を見て回った後、僕は一番盛況している酒場へと入る。
ざわッ
僕が酒場の中へと入った瞬間。
酒場の中が一気にざわめき始める。
「僕一人だよ」
そんな酒場全体に聞こえるように僕は声を張り上げる。
その瞬間に緊張に張り詰めていた酒場の空気はなくなり、喧騒と混沌の空間が帰ってくる。
「マスター。とりあえずオススメの酒とつまみを」
「あいよ」
僕はカウンター席に座り、酒場のマスターにオススメの酒とつまみを注文する。
「おいおい……余所者くんよぉ。お守りをしているあのクソアマもつれねぇでこんなところに来るんじゃねぇよ」
僕がカウンター席で注文を待っていると柄の悪そうな男二人組が近づいてくる。
「……?冒険者の街であるここは余所者だらけだろう?何を言っているんだ?君は」
僕は絡んできた男二人を小馬鹿にするような表情を浮かべながら視線をそちらの方に向ける。
「てめぇ……舐めてんのか?」
「ん?そう見えなかったかい?」
「あまり舐めた口聞いてんじゃねえぞッ!先輩に対してよ!」
男は僕の方に殴りかかってくる。
「まったく……実に野蛮だ。もう少し落ち着きを覚えた方が良いのでは?」
僕は男の腕を掴み……関節を痛み無く外してやる。
「……は?」
男は上がらなくなった自身の腕を見て呆けた表情を浮かべ、ポツリと驚愕のまま言葉を漏らす。
「さっさと自分の席に戻ると良い……目障りだよ?」
「俺を舐めるなよッ!!!『神より宿し天命:壱式:大剣』」
男はとうとう『神より宿し天命』まで起動して僕へと切りかかってくる。
わー。それまで出すんだ。……一体何がここまで彼を焚きつけるのだろうか?
僕はそんなことを思いながら男の手に握られている大剣を掴む。
そして。
「ほい」
力を込め……そのまま大剣を握りつぶして剣としての機能を果たせないようにしてやる。
「馬鹿なッ!?ありえ……ッ!!!」
「あいつの隣に立てる僕がどうして弱いと思ったの?……僕はこの中で一番強いんだけど」
僕は絡み、『神より宿し天命』まで出してきた男の首元にフォークを突きつける。
「さて、と。マスター。酒とつまみは出来た?」
「え、えぇ……出来ておりますよ」
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