第9話
「ごちそうさまでした」
僕はステーキを食べ終え、手を合わせて小さな声で『ごちそうさま』と呟く。
「どう?美味しかった?」
食べ終わった僕にマキナはちょっとだけ不安そうな表情で尋ねてくる。
「うん。美味しかったよ」
僕はマキナの疑問に対して頷く。
実際にものすごく美味しかった。味は帝国の宮殿で食べていた物に決して劣るものではない。
……まぁ、僕が不遇な扱いを受けて居た故に料理を不味く作られていたのかも知れないけど。
「そっか……それなら良かった」
僕の言葉を聞いてマキナは安堵したように息を漏らす。
「それで。今日、僕はどこで寝ればいいの?」
「あぁ、うん。上の階の寝室ならどこでも使って良いよ。……全部客室なんだけど、全部空いているから」
「なるほど。了解。ありがと。ありがたく使わせてもらうね」
僕はマキナに向けて感謝の言葉を口にする。
「そ、それでなんだけどさ……」
おずおずと……少しためらいがちな様子でマキナは口にする。
「うん」
「一緒にダンジョンに潜ってくれないかな……?私……今、パーティーメンバーが居なくて一人で潜っていたんだよね」
ふむ。
別に僕がこの国にやってきたのはダンジョンに潜るため、というわけではない。
とりあえず挑戦的な気持ちで全力で数時間潜ったけど……ダンジョンに対する気持ちは僕の中に一切ない。
マキナには色々とお世話になっているし……これからもお世話になるため、この国で生きていくためにはマキナとの関係地はかなり高い方が良いだろう。
「うん。良いよ。一緒に潜ろうか」
僕はマキナの言葉に頷く。
「ほんと!」
それを聞いたマキナはその表情を輝かせる。
「私はダンジョンの67層にまで潜っているんだけど……アルはどこまでダンジョンに潜れたの?」
「あ、僕は今日、567層にまで降りたよ。だから67層なら転移可能だよ」
「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええ!?」
僕の言葉を聞いたマキナは驚愕の声を上げた。
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