第7話

「これで……最後ッ!」

 

 僕は刀剣を振るい、黒い人影の首を吹き飛ばす。

 こいつで最後。僕を囲んでいた大量の黒い人影は完全に全滅させた。


「ふー」

 

 僕は息を深く吐き、銃をこの場から消滅させ、刀剣は背中へと戻す。

 

「帰るか」

 

 たった数時間で567層にまで駆け抜けてきたのである。十分であろう。

 ちなみに一度行った階層には『神より宿す天命』を使えばやってくることが可能である。

 僕は『神より宿す天命』へと魔力を流し込み、ダンジョン第一階層へと転移した。

 

「んっ……はぁー」

 

 すっかり日が落ちた夜。

 僕はダンジョンから出る。


「宿、どうしようかな……」

 

 そして、ようやく僕はまだ自分の寝床を決めていなかったことに気づく。


「ん?もしかして泊まるところがないの?」

 

 ダンジョンのドアの前に止まっていた僕の後ろのドアが開き、そこから出てきたマキナが口を開く。

 どうやら僕の小さなつぶやきが聞こえていたようである。


「えっ……あ。うん。そうだね」

 

 僕はマキナの言葉に頷く。


「なるほど!じゃ、じゃあ私の住んでいる家に来ない?」

 

「えっ?いや、流石にそれは迷惑じゃ……」


「大丈夫!私の家ってばかなり広いから!全然問題ないよ!それに、あの時助けてもらっていなかったら私は死んでいたわけだからね!それを考えると当然だよ!全然遠慮しなくていいよ!」


「じゃ、じゃあ……お言葉に甘えて」

 

 僕はマキナの言葉に同意する。……なんか日本人の感覚で言うと図々しいと思うのだけど、この世界だと他人からの好意を断るのは失礼に値してしまう。

 ここは素直に受け入れた方が良いだろう。


「はい!……では、私の家まで案内するね!」

 

 マキナが意気揚々と僕の前を歩き出す。


「あ、夕食って食べた?」


「ん?まだかな。冒険者登録をした後、ずっとダンジョンの方に潜っていたから」


「だよね!じゃあ、夕食もごちそうするよ!」


「本当に何から何までありがとね」


「大丈夫!大丈夫!……命を助けてもらった恩と比べればこのくらいなんてことないよ!命がなければこんな風に話すことさえ出来ないわけだからね!」

 

 僕とマキナは共にマキナの家に向かっていった。

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