第8話 敵対の訳

(オムライスの材料を買い、帰り道)


「加藤ちゃんってなんで、僕のこと嫌いだったの?」


「……嫌いというより、私はずっと三竹くんに嫉妬していたのよ」


「嫉妬?」


「だってどれだけ私が頑張っても、勉強も運動も何一つ三竹くんに勝てない。なのにあなたは私のことなんて、気にも留めていなかったじゃない」


「そんなこと、ないよ?」


「今更とり繕わなくていいわよ。名前すら覚えていなかったくせに」


「今は流石に覚えてるよ!?僕はただ必要ないことは覚えない主義なだけ」


「あなたのそういう態度が腹だたしいのよ。初めて話したときを思い出すわ」


「あれは中々に強烈だった」


「三竹くんがいけないのよ?同じクラスの隣の席にいる、ずっと意識していた相手に。名前すら覚えられていなかった私の気持ちにもなってほしいわ」


「それはごめんなさい」


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