第7話 まだよく知らない二人

「三竹くんの好物がオムライスだなんて、知らなかったわ」


「だって聞かれたことないよ?」


「確かに、そうね」


「僕達って2年も一緒にいるのに、意外にお互いこと知らないよね」


「まあ、最初はあなたのこと嫌いだったから。好きな食べ物なんて知ろうともしなかったでしょうね」


「え?!そうなの??それは傷つくな……」


「いまは違うから!そんなあからさまにしょんぼりした顔しないで」


「じゃあ、すき?」


「……その手には乗らないわよ」


「バレたか」


「バレバレよ」


「残念〜加藤ちゃんの口から僕のこと好きだって。聞けると思ったのに」


「あなたみたいに誰でも彼でも好き好き言わないわ。私の好きはそんな軽くないもの」


「僕のすきも軽くないよ?」


「あなた今日の自分が何回好きって言ったか、よく思い返してみなさい」


「…………」


「そこで黙るのね、さすがチャラ男だわ」


「チャラ男ってひどくない?!……僕が好きって言うのは加藤さんだけだよ」


「そのセリフがもうチャラ男のそれよ、認めなさい」


「……以後気をつけます」

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