第七章、考察
「……。」
エレナが居なくなって一夜が明けた、結局俺は一睡もすることができなかった。
食料を分けてもらった日、俺はエレナを助けると固く誓った。
だがその誓いはもう守ることができない。
目標を失い、そして何よりエレナを失った俺の中身は空っぽになっていた。
「俺も死のうかな……。」
親も助けに来ない、恐らく警察も来ないだろう。俺は何のために生きているのだろうか。
ぐるぐると死のうかどうかと同じ事ばかりを考えていると、とある物が視界に入った。
──水槽。
そういえば男はこう言ってた、君の妹は水槽の水を使って殺された──と。
エレナはどうやって殺されたのだろうか?
いやエレナだけではない、昨日放送で死亡者は3名だと言っていた。
たった一日で3人も人を殺したのだ。
犯人は一体どうやってエレナたちを殺したのだろうか。
パッと思いつく方法は桶に水を入れて、無理矢理窒息させる方法だ。だがそんなやり方で3人も人を殺せるはずがない。それに何よりそんなことをされたらエレナだって抵抗するはずだ。
犯人はもっと自然な方法でエレナたちを殺したに違いない。
そんなことを考えていると、俺の中にもう一つ別の疑問が浮上してきた。
──そういえば、どうして俺は無事なんだ?
一度に3人も殺せる方法があるのなら、自分以外の4人を一度に殺したいと考えるのが普通だ。
それなのに俺だけが助かった。
何故だ……あくまで自然に、俺だけが……。
「……!」
1つだけあった。昨日エレナが殺された日に皆が自然にやっていて俺だけがやっていなかったこと、俺の考えが正しければ犯人は必ずあの場所に来るはずだ。
俺は急いで部屋を出ると、とある場所で身を潜めた。
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