ふしぎなおもちゃ屋さん

紫蘇ジュースの達人

ふしぎなおもちゃ屋さん

ここはおもちゃのくに。

おもちゃたちがくらす、そらのうえのくにです。

うまれたばかりのかわいいねこのぬいぐるみが、いずみのちかくであそんでいました。

このいずみは、にんげんのくにがみえるふしぎないずみ。

ねこはいずみのなかをふしぎそうにながめていました。


おんなのこがあそんでいます。

あんなこといっしょにあそべたらいいのに。

ねこはそうおもいました。

「エリゼ、ごはんですよ。」

おかあさんがよびました。

「あのこ、エリゼっていうんだ。」


おもちゃのくににはきまりがあって、クリスマスのまえにひとつだけかみさまにおねがいをいうことができました。

おもちゃたちはみんな、もっとかわいいかおにしてほしいとか、かっこいいふくがほしいとか、そんなことをおねがいしていました。


クリスマスのひがちかづいてきました。ねこはかみさまにおねがいをいうのははじめてでした。

かみさまはすこしふとっていて、しろいひげをはやしたおじいさんでした。

「ねこよ、かなえてほしいねがいはあるかな。」

かみさまはいいました。

「エリゼといっしょにあそびたいの。」

ねこはいいました。

「いちどにんげんのくににいくと、もうおもちゃのくににはかえってこられないが、それでもよいのかな。」

「それでもいいの。」

ねこはいいました。

「よろしい。それではねがいをかなえよう。」


きょうはおでかけのひ、エリゼはおとうさんとおばあちゃんといっしょにえほんやさんにいくひです。でも、おみせのまえまでいくと「ほんんじつおやすみ」のかんばんがでていて、おとうさんはこまってしまいました。

「おもちゃやさんがある!」

ほそいろじをはいったずっとおくに、おもちゃやさんがあるのをエリゼはみつけました。

こんなところにおもちゃやさんなんてあったかな。とおとうさんはおもいましたが、いってみることにしました。


「いらっしゃいませ。」

しろいひげをはやしたてんしゅのおじいさんがいいました。

おもちゃやさんはずいぶんむかしからあるおみせのようで、みたこともないかわいいおもちゃがたくさんありました。

おおきなゾウのぬいぐるみ、ブリキのへいたいにあやつりにんぎょうもありました。

いりぐちをはいってすぐひだりがわに、ふるいイスがあって、そのうえにエリゼとおなじくらいのおおきさのねこのぬいぐるみがおいてありました。

あおいガラスだまのようにきれいなめ。ちゃいろくてながいけなみ。しっぽはふとくてふわふわしていました。

「このこかわいい。」

エリゼはねこをぎゅっとだきしめました。

「このこはずいぶんとおくからこのおみせにきたんだよ。あるおんなのこをさがしにね。」

てんしゅのおじいさんがやさしいこえでいいました。


おひるのじかんになりました。ごはんをたべにいくためにいちどみんなはおみせをでました。

でも、やっぱりさっきのねこのぬいぐるみのことがきになって、エリゼはおもちゃやさんのほうにひとりでもどってしまいました。

「あれ? おみせが・・ない。」

いくらさがしても、おもちゃやさんはどこにもありませんでした。


こんやはクリスマスイブです。

いちねんにいちど、こどもたちがほしいものをサンタクロースがとどけてくれるひです。

ゆうがたからゆきがふりはじめ、こどもたちはみんなそわそわしています。

エリゼもなんだかねむれません。

あのひ、おもちゃやさんでみたねこのぬぐるみのことが、ずっとわすれられませんでした。

「あのねこちゃんにあいたい。」

エリゼはつよくおもっていました。


きがつくと、あさになっていました。

よるのあいだふりつづいたゆきはすっかりやみ、にわいちめんまっしろいじゅうたんがひろがったようです。

エリゼはベットからとびおきて、まくらもとをみました。

なにもありません。

こんどはかいだんをかけおりて、リビングのほうへはしりました。

クリスマスツリーのしたに、まっかなリボンのついたおおきなプレゼントのはこがありました。

はこをあけてみると、そこにいたのは


あのかわいいねこのぬいぐるみでした。

「やっとあえたね!」

エリゼはねこをぎゅっとだきしめました。


ここはおもちゃのくにのふしぎないずみ。

しろいひげのおじいさんが、やさしくほほえんでいました。

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