受付をする理由

「じゃあ、太一君は」


「あー。太一君は、ギリギリ大丈夫ですよ。七歳以上って決まってますから」


「何で、七歳以上?」


「さぁ?詳しくはわかりませんが…。七歳を越えたものは、受付を経験してからしか成仏の道へ行けないらしいです」


「それじゃあ、みんな小学生みたいなのは、そう言うことなのか?」


「こちらは、小学生ですが、次の場所は中学生です。そして、最初にあなたが見た受付は高校生です。成人をしている人は、成仏の道に行きます。どうしてかは、また神さんに会った時に聞いていただけますか?」


「わかった」


玉野君は、ハッとした顔をして俺の手を引っ張る。


「何?」


ガチャと開けた場所には、子供がたくさんいた。


「受付で、七歳以上二十歳未満の子供を見つけましたらこちらにお願いします。現世では、十八歳で大人になっていると思いますが、こちらでは二十歳にならなければ大人ではありませんので…。間違えないようお願いします」


「わかった」


「それでは、実践してみましょう」


そう言って、ガチャリと扉を閉めた。


受付に行く。


「俺、自己紹介してなかったよな」


「知ってますよ!早見さん」


「そうだよね、よろしく」


「よろしく」


受付に並ぶとすぐに人がやってきた。


「あのー」


「お名前を、よろしいですか?」


「はい、内海海里です」


「少々、お待ち下さい」


そう言って、玉野君はタブレットを開く。


検索の仕方は、こちらの字をいれてください。


すげー。


彼の顔の横に、漢字が浮かんでる。


どんな漢字ですか?とか、こっちの海ですか?とか、もう一度言って下さい。なんて聞かなくてもいい。


俺は、【内海海里】と入力した。


「ありますね」


「はい」


「内海海里さん、男性、25歳、バイクの事故により死亡ですね」


「はい」


「では、内海さん。成仏する意思はありますか?」


「はい、します」


「それでは、あちらに進んで下さい」


そう言って、玉野君は右手を差し出した。


「こちらにどうぞ」


新しいチビッ子が、内海さんを連れて行った。


「こんな感じです。もう一人ぐらいやりますか?」


「はい、お願いします」


「じゃあ、やりましょう」


また、受付に人がやってくる。


「あのー」


「お名前をよろしいですか?」


尾藤紀一びとうきいち


「少々、お待ち下さい」


そう言って、またタブレットで検索をする。


「尾藤紀一さん、36歳、酔って階段から足を踏み外して死亡あってますか?」


「ああ」


「では、成仏されますか?」


「しない」


「しないとは、どうしてですか?」


早くも成仏を拒否するやつに当たってしまった。


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