人チケット

「それって、どういう意味だよ」


「人チケットは、その名の通りだよ!期間は、一年でどうかな?それなら、君はプロポーズ出来るだろ?」


「神さん、いいのですか?」


「いいよ、いいよ!こういう人間は、現実を知る方がいいんだよ」


「じゃあ、肉体がなくても生き返れんのか?」


「生き返れる。ただし、一年間だけだ!それと、君が1000体、あの世に送り届けたらって条件付きだけど」


「やってやるよ」


「じゃあ、その前に生まれ変わっておかなきゃいけないものがあるね」


「何だよ、それ」


「まあ、それは3日後のお楽しみだよ!今は、受付を手伝ってくれないか?最近は、忙しいんだよ」


「わかった」


俺は、そいつに近づいた。


見るからに、小学一年生だ!


「行きましょう」


「ああ」


小さいんだなー。


連れてこられた受付は、さっきとは違う場所だった。


「さっきと違うんだけど」


「はい、ここが入り口です」


乗車率1000%じゃねーかよ


とにかく、ぎゅうぎゅう詰めだ!


すんなり受付を通る人、ただをこねる人、何故か引き返す人、魂の数だけそれぞれってやつか!


小学一年生は、タブレットを俺に渡してきた。


「ざっくり、説明しますね」


「はい」


「ここでは、魂の事は、お客さんとお呼びします」


「はい」


「お客さんが現れましたら、こちらのタブレットで名前を検索します。だいたいは、死神手帳と連動していますので見つけられます。ただ、死ぬ予定になかった方などは一度待機していただく事になります。ここまでで、わからない事はありますか?」


「いえ」


「受付をして、名前を見つけましたら、成仏をする意志があるかないかを確認します」


「そんなの勝手に出来るんじゃないのか?」


「出来ません。この天国ばしょは、意志が全てです。したくない人を成仏させる事は出来ないのです。だから、必ず確認をして下さい。もしも、意志がないものを成仏の道に行かせば、その魂は牢屋に閉じ込められます。そして、中間と呼ばれる世界をさ迷います。中間とは、どこにも行けない世界です。二度と生まれ変われない世界、真っ暗闇で無機質な世界です。ホラー映画を見てるような世界です。」


その言葉に、背筋がゾクッとした。


「わかった!意志の確認は絶対だな」


「はい、では!実践してみましょうか?」


「よろしくお願いします」


「自己紹介を忘れていました。私は、玉野と言います」


「えっ?人間」


「はい、人間です。親より先に死んだ子供は、基本受付を一年から二年は、する決まりなんです」


そう言って、玉野君は笑った。

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