生まれかわるまで
「あー、いたいた」
黄色の鬼が現れた。
見るからに、いかつい見た目をしている。
「きぃちゃん、生まれ変わりってどれくらいだっけ?」
「あーん!忙しいんだけど」
「頼むよ」
「何でだよ」
「中継なんだよ」
「あー、神さんか!ちと、待てよ」
タブレットではなく、紙だ!
バサバサと資料を捲ってる。
「ペーパーレスの時代だけど」
ポツリと言った言葉が聞こえた!
「あーん?ペーパーレスだ?こっちには、ハイテクな機械使えるやついねーんだわ!神さん、ちゃんとそいつに教えとけや」
「わかりました」
「ほらよ」
「ありがとう!えっと、およそ300年からになります」
「さ、さ、300年!!!」
「はい!それも、天国争奪戦がありまして!えーと、あっそうそう!運動会みたいな事するんですよ!それで、勝ったチームがそっちに行きます。だいたい、一回に300体ぐらいが行きます」
「へー」
「こんなもんで、よろしいでしょうか?今日は、納期の日で忙しいんです」
「ごめんね、助かったよ」
「じゃあ、また何かありましたら」
「はい」
中継が終わった。
いつの間にか、神はワインを開けていた。
「ワインなんかあるんだな」
「えっ、ああ。死んだやつが持ってきたやつ」
「ちょっと待てよ!それ、俺が買ったやつじゃねーかよ」
「えっ?そうなの」
「めちゃくちゃ高いやつなんだぞ」
「いくらしたの?」
「五万は越えた」
「だから、上手いんだな!このチーズもお前か?」
「そうだよ!飲ませろ」
「はあ?」
「俺にも、飲ませろって言ってんだよ」
神は、呆れた顔をしていた。
「はぁー」
ため息をついて、首を左右に振る。
「ここまで、めんどくさいやつは初めてだよ」
指をパチンと鳴らしたら、黄金色のグラスが現れた。
トクトクとワインを注いでくれた。
「はい」
「ありがとう」
俺は、添えられたチーズを噛りながらワインを飲んだ。
「めちゃくちゃ上手いし」
「よかったな」
神は、そう言ってタブレットを使ってる。
「あのさ、地獄は何でハイテクな機械使えないんだ?」
「使えるやつもいるよ!ただ、基本的には、魂を洗ってあちらに行かされるから…。現世で、獲得したスキルなんてなくなるんだよねー。これは、地獄の場合ね」
「あの、綺麗な滝に入るのか?」
「違う、違う!地獄は、真っ黒な滝に入る。それで、洗い屋がいるんだよ!それが、雑な洗い方なんだよ!そのせいで、全部流れてく。こっちは、違うよ!記憶は失くしても、スキルは残るから…。だから、向こうは現世と同じ修行をするんだよ。地獄だよね」
そう言って、神はワインをゴクリと飲んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます