地獄か…天国か…

「ごめん、ごめん」


神は、俺を見つめる。


「返品って何?」


「あー。地獄か天国かって話だよ」


「地獄ってあるの?」


「興味あるの?」


「見てみたい」


「見せてやるよ!暇潰しに」


そう言うと、神は指をパチンと鳴らした。


雲が、まるでプロジェクタースクリーンのようになる。


すごい!!


興奮してる


ピッ…


「えっと、中継ですね!神さん」


青い顔で、ちょこんと角が生えた男の子が映った。


「地獄を見たいやつがいるから、見せてくれない?」


「いいっすよ」


軽い、めちゃくちゃ軽い。


そいつは、どんどん歩いていく。


「まずは、大窯地獄でーす」


そう言って、見せられたのは料理を作る人間だった。


「煮られるって聞いたけど?」


「煮るって、人間をですか?」


「そうだよ」


「いやー。ないっす、ないっす」


「じゃあ、これは何だよ」


「これは、料理をひたすら作ってます」


「地獄だな!」


神は、そう言って煙草に火をつける。


「小学生がそんなもん吸うなよ」


火をつける前に、取り上げた!


「あのなー。三千歳なんだよ!返せよ。それに、最近禁煙ブームで久々に持ってきてもらったんだよ!返せ」


「煙草は、寿命を削る」


「いやー。削られていいぐらい、生きるんだよ。だから、返してくんない」


「それも、そうか」


俺は、煙草を返した。


「あざーす。やけに、素直だね」


不思議そうに俺を見つめながら、神は煙草に火をつけた。


「次が、針の山でーす」


「血だらけになるまで、歩くんだよな」


「それって、誰得ですか?」


「はあ?」


「いやー。針の山はそんなんじゃないっすよ」


「じゃあ、何だよ」


「見れば、わかるでしょ?」


手縫いで一生懸命、何かを縫っている。


「地獄だな」


神は、見ながらそう言った。


「地獄ってなんなんだよ」


「あー、そうですね!地獄は、生きてる時と変わんない日々って事です。こっちは、ひたすら洗濯してます。えっと、こっちは書類の訂正ですね。あー。そもそも、天国は何もしなくていいんすよ!ボッーと過ごして時間来たら生まれ変わるって感じです。でも、地獄は違います。毎日、毎日、働くんです。最後が、料理です。ひたすら作り続けてやっとの思いで天国に行くんですよ!1日三食、天国のきゃくが上手いもん食べれんのは、こっちのお陰何すよ!わかりますか?」


青色の鬼は、そう言ってる。


「生まれ変われないって事なのか?」


「生まれ変わる?えっと、どれだけかかったかな?ちょっと待って下さいね」


そう言って、青色の鬼は、誰かに近づいていく。


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