いったん、神と過ごす

「あのさー、泡風呂好きなの?」


「大好きだよ」


「ってか、俺。食いもんにされたよな!何回か」


「うん、めんどくさくて」


「いやいや、出荷だってされたぞ」


「食べられる気持ちもわかっとかないとね」


「そんな理由かよ」


「生まれ変わったら、食べ物を粗末にしなくなるだろ?」


「お前、小学生だよな!」


「はあ?3000歳だけど!」


「さ、さんぜん!やばいな!」


「どうも!てかさ、死ぬ予定だったっけ?」


タブレット見てる。


「そんなんあんのか?」


「あるよ!君、死ぬ予定だったっけ?リストに名前ないんだよね」


「それ、共有してんの?」


「してるよ!死神と…。で、名前何だったけ?」


「早見翔」


「はやみかける?あー。そんな漢字ね」


そう言って、インターネット検索するみたいにしてる。


「やっぱり、ないんだよねー。おかしいなぁ」


そいつは、顎に手を当てながら首を傾げてる。


「ないって、何?」


「ないって事は、事故死じゃないんだよね!自殺した?殺された?」


「いやいや、しないから」


「ってか、何で人間に戻りたいわけ」


「プロポーズしたいんだよ」


「プロポーズね!ハエになった時に見たんじゃないの?それでも、したいの?」


「あれ、やっぱりそうだったんだな」


「凹んでる?まあ、決定的なのは見てないから、まだ希望があると思ってる?」


「人生相談も聞いてくれるんだな!」


「一応、三千歳だから!」


そう言って、神はスクロールしてる。


「自殺や他殺は、載ってないのかよ!」


「えっ?うん。突発的な場合は、だいたい載ってないよ!ほら、生き返る可能性もあるしね!やめちゃう事もあるでしょ?」


そう言いながらも、何かを見てる。


「しばらくいるならさ!ここの、幽霊達と話してみる?」


「どこの?」


「不倫されたり浮気されたりで苦しんだ幽霊だよ!」


「はあ?俺が、妙伊子の浮気で死んだと思ってんのか?」


「思ってるよ!それしかないでしょ?死ぬ理由」


「いやいや、死なねーよ」


「そんなんで?」


「そんなんで、死なねーよ」


「そっか!」


【そんなんで、死なない】と入力されている。


「あのさー。優雅に入浴したいからさ!幽体の場所に行ってくれるかな?三日経ったら、呼ぶからさ」


「何なんだよ!その態度」


パチン…


目の前が、暗くなった。


と思ったら、満員電車みたいな場所にいる。


「横、寄ってー」


「狭いから」


乗車率、200%だわ!これ


「まだ、ですか?」


「もう、一週間ですけど」


「ちょっと、もうちょっと寄ってよ」


そもそも、ここは何なのだ!

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