ジョニー

短ペン小僧

さクソん

教室でサクソンは俺を殴った。

キタ~っと思った。

嬉しかった。

何故なら俺の力を見せられるときが来たからだ。 

先に殴ってきたんだから、俺がやり返しても文句はないはずだ。

俺はいつも皆のイジられ役で、しかも頭がじゃがいもみたいだとか、少し嫌な容姿ディスで皆に笑われる。

それはもう終わりだ。

俺は小学生まで空手を習っていた。

パンチの撃ち方はわかっている。

でも、もし俺のパンチを食らったサクソンが気絶でもしてしまったら、俺はこの高校を退学か?

いや、温いこと考えてんじゃねぇよ、

やるときやるのが男なんだ!


俺はサクソンの胸ぐらを掴んだ。

そして拳を振りかぶった。

教室にいる全員が俺の拳に注目している。

サクソンの顔面目掛けて放たれた音速の拳が、あと数センチで目標に着弾しようとしたとき、


「ジョニー君、やめてー!!!」

クラスのマドンナ、アレグザンドラが叫んだ。

俺の拳から力が抜けていった。

俺は彼女に好意をよせていた。

彼女がやめろというのだから仕方がない。


こんなチャンス二度とないだろうから、殴れば良かった。

俺のプライドを優先させるべきだ。

てか、今殴るか?でもそんな気力はもうなかった。


これでいいんだ。これは愛だ。

だってそうだろ?どんなヒーローだって愛する人を守るためにピンチになる。

愛する人一人のために世界を滅亡させる映画の主人公だっている。

結局は愛なんだ。

単純で認めたくないけど絶対そうだ。


ほら、俺の鼻から垂れてる鼻血だって、異性を見て興奮したときに出てくるやつだ。愛だ。







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ジョニー 短ペン小僧 @plentyofcats

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