第14話 名探偵モモ

「失礼します。リコ・バルトとモモ・アギレラはロキ教官に要件があって参りました。」


書類を見る手を止め、ロキ教官は少し驚いたような顔をして二人を見た。


「二人ともこんな時間にどうした?」


「ちょっとお伺いしたいことがありまして。」


「今会議室を開けよう。少し待っていてくれ。」


「はい。」


ロキ教官は引き出しの中から1枚のカードキーを取り出し、会議室のドアを開けた。


「お疲れさん。何かあったか?」


モモは電車の中でアルカディアの2人組が話していたこと、最近自分とリコの身の回りで起こる不審な気配のことについて話した。


「アルカディアの夜明けは私とリコのことを把握しているような気がするんです。」


「なるほど・・・。必ずしもそうとは言い切れん。だが、モモの言うことは一応筋が

通っているな。」


ロキ教官は真剣な眼差しで天井を見上げた。


「あの日、あのレストランに私とリコがいたことを知っているのは他に誰かいますか?」


「お前たちには見せないつもりだったのだが、こうなってしまってはな。」


ロキ教官は一番下の引き出しの中から黒い封筒を出してモモに手渡した。


「これは?」


「1週間前、訓練学校のポストに入っていたんだ。教官会議で共有してある。教官全員がリコとモモがあの日レストランにいたことを知っている。」


「内通者がいるのでは。と考えているのだな。」


「言いにくいのですが、そうです。」


「たしかに、、。教官側にアルカディアの内通者がいれば説明がつくことが多いのは事実というわけか。」


「様々な可能性から、私も周りに目を配るようにしよう。今日はもう部屋に戻りなさい。」


「はい。ありがとうございました。」


リコとモモは教官室を後にした。


「モモは名探偵だね。」


リコが尊敬の眼差しを向けて言った。


「私、実は推理小説が好きなのよ。小さい頃から沢山読んできたから推理力がついたのかしらね。」


「なるほどね。でももう探偵みたいについて来るのはやめてくれよ。」


「分かったって。そういえば私たち、何か忘れている気がしない?」


二人は同時に顔を見合わせた。


「サッチ!」


二人は暗い廊下を急ぎ足で歩きだした。

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